【国会活動】新型インフルエンザ特措法等改正に対する討論(2023年3月29日)

 内閣委員会に付託された「新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律」に対して反対討論を行いました。

 ⑴ 指揮命令系統の混乱 ⑵内閣官房の業務肥大化 ⑶新型コロナ対策の検証の必要性の三点の理由を挙げ、以下の通り討論を行いました。なお、立憲民主党は修正案を提出し、附帯決議に法案の懸念点等を盛り込みました。附帯決議はこちらからご覧いただけます。

★議事録★

 神奈川13区選出の太栄志です。会派を代表して新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案について反対討論を行います。まず新型コロナウイルス感染症との闘いは既に三年を超えました。今日に至るまで日本全国で感染症との闘いの最前線に立ち続けた医療従事者をはじめとした多くの方々の献身的な御努力に対しまして、深い敬意と共に心からの感謝の意を表します。
 以下、反対の理由を3点に絞って申し上げます。

① 指揮命令系統の混乱
 第一に感染症対策の指揮命令系統の複雑化です。今回提出された法案では、統括庁設置後の感染症有事における意思決定主体は政府対策本部に据え置かれるままであり、統括庁の役割は総合調整にとどまります。また委員会審議の中で統括庁設置後にコロナ担当の国務大臣は感染症対策における権限をほぼ持たず、統括庁に対する指揮命令の権限を持たないことが明らかになりました。統括庁の新設が感染症対策の指揮命令系統を複雑化させ、混乱をきたすことは間違いありません。

 危機管理の組織は単純で大きな権限が与えられるべきです。平時の行政組織の理論を有事に転用してはいけません。感染症に限らず、自然災害における救命活動、医療提供、生物化学兵器による攻撃やバイオテロへの対処など、危機の種類に関わらず、健康危機管理全般に即応できる機動的かつ強力な指揮命令系統を持つ組織とするべきであります。

② 内閣官房の業務肥大化
第二に内閣官房の業務肥大化です。法案には政府対策本部の事務を統括庁が処理するにあたり、内閣官房の所掌事務規定に法律に基づき、内閣官房に属せられた事務を追加すると記載されています。これは法律に基づく命令によって所掌事務が無制限に拡大する可能性を孕んでおり、内閣官房の業務肥大化・行政改革の観点からも懸念があります。

③ 新型コロナ対策の検証必要性
 最後に新型コロナ対策の検証必要性について申し上げます。有識者会議で示された「今後とも社会経済財政への影響、財源のあり方、施策の効果などについて多面的に検証が行われ、的確に政策が進められることを求めたい」との指摘を受けて、さらなる検証を行い、その結果を公表すると共に必要な措置を講ずる必要性を申し上げます。

 今回の法案は政府の危機管理体制を見直す方向性は同じくしているものの、賛同するには不十分であり、この度提出をいたしました附帯決議案における論点についても、御審議をいただいた上で、我が国の健康危機管理体制の強化に与野党を超えて取り組む決意ことを申し上げ、本法案に対する反対討論を終わります。