【国会活動】外務委員会で質疑に立ちました(2022年3月9日)

★質問要旨★

  1. 在日米軍駐留経費負担に係る特別協定について【外務大臣】
  2. ウクライナ情勢について【外務大臣】
  3. ロシアに対する経済制裁の実効性および世界経済への影響について【外務大臣】【経済産業省】

★質疑映像★

★議事録★

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○太委員 おはようございます。太栄志でございます。  昨年、衆議院議員に初めてなりまして、今回初めての外務委員会での質問となります。どうぞ皆さんよろしくお願いいたします。  林大臣始め政府関係者の皆さん、連日、ウクライナ情勢、目まぐるしく情勢が変わる中、我が国の外交を担っていただいておりますこと、また御尽力いただいておりますことに心より敬意と感謝を申し上げます。  私は、外交、安全保障問題は、与党、野党関係なく、まさに我が国の平和と国民を守り抜く、そのことだけを見据えて、しっかりとオール・ジャパンで取り組んでいかなきゃならないというふうに思っております。そういった意味でも、本日も本当に貴重なお時間、しっかりと緊張感を持って臨みたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  現状認識といたしまして、今回のロシアによる軍事侵攻を受けて、私たちは今、この世界は、力や軍事力、そういった、国際ルールを無視して領土を拡張したり、あるいは現状を変更したり、そういったことが認められる弱肉強食のパワーポリティクス、そういった世界へと逆戻りしてしまうのか、あるいは、ここでしっかりと踏ん張って、我々が目指してきた、まさに国際法をしっかりと守り抜いていく、そういった国際秩序を維持していけるのか、自由や民主主義を守っていけるのか、そのことが問われている、そういったまさに瀬戸際にあると思っております。  大臣が本会議でこの前おっしゃっていましたリアリズム外交、私は、本当にこの危機的な状況において、我が国でも外交的なリアリズム、このことがまさに問われていると思っております。冷徹に、この国際情勢、しっかりと合理的な判断をしていくこと、そういうバランスを取りながら政策決定をしていく、そのことを引き続き外務大臣にはお願いしたいと思っておりますし、それはまさに、私たち野党も含めて、この国全体がそのことは問われていると思っておりますので、そういった視点で本日も問わせていただきます。  まず最初に、ウクライナ情勢に入る前に、先日の大臣の御説明がありました在日米軍駐留経費負担に関して質問させていただきます。  ウクライナ情勢が緊迫化し、また東アジア情勢も大変挑発行為が続いている中で、改めて私は、日米同盟をしっかりと強固にしていくこと、そのことこそが重要だと思っております。私、今回の特別協定も、だからこそ、徹底した審議を十分行った上で速やかに成立させること、そして、そういった視点と、また、私自身、米軍の基地を二つ抱える選挙区で、だからこそ、基地の周辺の方たち、また基地で働く日本人の声、同盟を支えていただいておりますそういった方たちの声も含めまして、本日問わせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  昨年二月に、日米両政府は、トランプ政権の退陣を受けて特別協定の期限を一年延長することに合意し、それを受けて当時の茂木外務大臣は、日米同盟の抑止力、そして対処力を高めていく、そのために引き続き米側と緊密に連携していきたいと発言されました。  それであれば、この一年間、どのように日米間の安全保障分野における新たな役割分担をめぐる実質的な戦略協議が行われてきたのか。今回の特別協定において、どのような日米間の役割分担を含めた、想定した駐留経費負担なのでしょうか。その点に関して、まず大臣にお伺いいたします。よろしくお願いいたします。

○林国務大臣 昨年の三月に日米の2プラス2が行われまして、その際の共同発表に、日米同盟の役割、任務、能力について協議することによって、安全保障政策を整合させ、全ての領域を横断する防衛協力、これを深化させ、そして拡大抑止を強化するため緊密な連携を向上させることに改めてコミットしている旨を確認したとおりでございまして、日米間では、様々な機会を用いて、今委員からもお話のありました、日米の役割、そして任務、能力に関する協議を行ってきておるところでございます。そして、今年一月に日米2プラス2、これは残念ながらオンラインでございましたけれども、その共同発表にあるとおり、この協議の進展、これを歓迎したところでございます。  その上で、こうした協議の日米間の個別具体的なやり取りにつきましては、米側との関係もあることから、お答えは差し控えたいというふうに思います。

○太委員 ありがとうございます。  大臣、今ありました、まさに日米の新たな役割分担、任務を含めて協議をやるということがあったということなんですが、その上で、また今回大きな変更として、これまで通称として思いやり予算と言われていたのが、同盟強靱化予算に名前も変更することになりましたが、その点を含めて、その背景、なぜなのか、そこを含めて御説明をいただけますでしょうか。再度お願いいたします。

○林国務大臣 今委員からお話がありましたように、これまで、在日米軍の駐留経費負担については、思いやり予算との俗称が使用されることがしばしばあったわけでございますが、この思いやり予算との俗称、これは合意の性質を反映していないと考えております。政府としては、思いやり予算という名称は適切ではないということをこれまでも一貫して主張してきたところでございます。  そうした上で、この度の交渉で、日米双方、真摯に交渉を行った結果、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えるだけではなくて、自衛隊を含む日米同盟の抑止力、対処力、これをより一層効果的に強化していくことに資する、また、厳しい財政状況も踏まえ、めり張りをつけた経費負担の合意を得ることができた、こういうふうに考えておるところでございます。  このように、これまでは在日米軍の駐留を支援することに重きを置いた経費負担でありましたが、今回の合意によりまして、本件経費を用いて日米同盟を一層強化する基盤、これを構築することで一致したところでございます。  このような経費負担の内容の変化を踏まえて、今回の合意に基づく在日米軍駐留経費負担の性質を端的に示すものとして、その通称を同盟強靱化予算とすることとしたところでございます。

○太委員 大臣、ありがとうございます。  同盟強靱化予算、まさにそういった方向でのネーミングだったということですが、これは先般、徳永先生からも本会議で質問がありましたが、それであれば、この間政府は、特別協定について、一時的、暫定的、限定的な措置であると説明する中で、この予算も今回、特別協定という形なんですが、本来であれば、まさに同盟を強靱化、強化していくのであれば、やはり本予算に計上することが筋だと思いますが、そこをもう一度御説明をお願いいたします。

○林国務大臣 今般の交渉に際しましては、日米両国を取り巻く諸情勢を総合的に勘案しまして、日米地位協定の第二十四条に定める経費負担の原則、これは原則として維持しながら、あくまでも暫定的、限定的、特例的な措置として、期間を五年間といたします地位協定の特則である特別協定、これを締結することが適当であるという判断を改めて行ったものでございます。政府としては、現時点において、これ以外の措置を取ることは検討しておらず、地位協定第二十四条に定める経費負担の原則それ自体を変更することは考えておらないわけでございます。  このような枠組みの下で、今後とも、国民の理解を得られるように、我が国の厳しい財政状況、また我が国を取り巻く安全保障環境等の各種要素の推移に応じて、日本側の適切な負担の在り方について不断に検討してまいりたいと考えております。

○太委員 どうか、引き続きこの件、本当に日米同盟をしっかり安定させるためにも大事だと思いますので、もちろん今回の交渉に際して、相当様々な努力をされてきた、光熱水費を削減する等あったと思いますが、もう一度、この点を含めて、本予算でというところを引き続き御検討いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  次に、大臣からも今ありました、まさに地位協定の本協定に関して、こちらで。  やはり私は、日米同盟をしっかりと強固にしていく、そのためには、足下、この地位協定の部分で、まず、先ほども言いました、私の選挙区、米軍基地を二つ抱えています。そういった意味でも、基地の近隣の方たち、また中で働く人たち、やはり日米同盟が大事だと分かっている方は本当に多いです。だからこそ、そういった方たちにも本当に安心していただける、そういった環境をつくっていただかなきゃいけないと思っています。  そこで、昨年末以降、新型コロナが基地から感染ということで、大臣のお地元の山口県でもそうでした。沖縄でもそうでした。まさにオミクロン株が拡大していく中で、地位協定の問題点というのがあぶり出されたと思っております。  そういった意味でも、やはり地位協定改定に向けて、恐らく運用を改善しているからという返答になると思うんですが、大臣、ここでまず、地位協定に関して、大臣のリーダーシップで何とか、もちろん外務省さん、これまで相当様々な努力をされてきているとは思っておりますが、ここでもう一度、この危機的な様々な国際情勢、東アジア情勢だからこそ、私はそこをやっていただきたいと思います。その点に関して、まず御見解をお願いいたします。

○林国務大臣 米軍関係者の新型コロナ感染については、日米地位協定や関連の日米合同委員会合意を踏まえまして、現地の保健当局間も含めて、米側からの緊密な協力を得ながらやり取りを行って対応してきておるところでございまして、政府として、日米地位協定を見直す必要はないものと考えております。  この地位協定というのは大きな法的枠組みでございまして、政府としては、事案に応じて、効果的に、かつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じて、一つ一つの具体的な問題に対応してきております。引き続き、政府としては、新たに日米合同委員会の下に設立されました検疫・保健分科委員会、これも活用しながら、感染防止対策の徹底及び地元の皆様の不安解消に向けて、日米間での連携をより一層強化してまいりたいと考えております。

○太委員 大臣の御見解、分かりました。  ですが、もちろん、一九六〇年、もう六十年以上前に締結されてから、いまだに改正されていないです。簡単なことじゃないと思っております。しかし、先ほど来、私は大臣に聞いてきましたが、ここで更に同盟強靱化へ向けてやっていくという中で、任務を含めて日米の防衛協力を見直しをしていこう、そういった流れの中で、やはり私は、こちらからしっかりとアクションを起こして、というのも、やはりもう地元がもたなくなります、地位協定がいつまでもこの状況では。  運用を改善していくと言いますけれども、やはり、まだこれから、コロナのこともそうですが、私の地元でも、基地の中で働いている人たち、先ほど言いました、日米同盟、何とか、これは大事なことだから、我々はやりがいを持ってやっているという人は多いですよ。ですけれども、残念ながら、労務問題とかあるいはパワハラとか、いろいろなことが起こっています。深刻です、これは。  だからこそ、私は、もう一度、日本側がしっかりとコミットできる、あるいは、国内法をしっかりと、少しずつでも改善していくというところをしなきゃいけないと思っています。  イタリアとドイツは、アメリカとの、もちろんNATOの枠組みがありますが、防衛協力の中で、そこを拡大しながら、地位協定改定ということもやっています。我が国も、やはり防衛協力の分野を増やしていく、明確にしていく。もちろん、我が国の防衛力や外交力をしっかり高めていくこととセットで、このことを何とか大臣のリーダーシップで、私は今こそやるべきだと思っております。  少し先ほどお話しさせていただきましたが、私のアメリカ時代の恩師がエズラ・ボーゲル先生、大臣と深い関係があったということは重々承知しております。ボーゲル先生が何度も言われました。今の日本にとって大事なものは、やはり政治家のリーダーシップだと。そのリーダーシップを持っているのは、岡田先生のことも言っていましたが、林芳正さんということを何度も私、聞きました。  是非とも大臣のリーダーシップで私は風穴を開けていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  次へ移りたいと思います。ウクライナ情勢に関しまして。  ウクライナ情勢、今回のロシアの暴挙を受けて、なぜこういったことになってしまったのか。先般、青山先生からもありましたブダペスト覚書というのもありました。たしか、ウクライナの安全保障というのは守られていたはずです、様々な国際的な取決めの中で。ですが、なぜこういった形で、軍事的にウクライナが攻められてしまったのか。そして、そこに我が国として何らかの責任があるのかないのか、そこを外務大臣に御見解をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○林国務大臣 エズラ・ボーゲル先生にお触れをいただきました。この間、追悼イベントもやらせていただきましたけれども、そこで、私も含めて関係者から出た声は、まさにこういう激動の時期に、一番先生のアドバイスをいただきたいときにいらっしゃらないのは本当に残念だなと。しかし、我々、もしいらっしゃったらこうおっしゃるだろうということを共有しながら前に進んでまいらなければならない、こういうことを申し上げたところでございますが、そういう気持ちでしっかりやってまいりたいというふうに思っております。  お尋ねの件でございますが、一九九二年に開催をされましたミュンヘン・サミットにおきまして、日本を含むG7の首脳が、旧ソ連の核兵器の安全な廃棄、核不拡散及び環境問題の解決に向けた協力、これを行うことを決定しております。  日本も、G7諸国とも連携の上、ウクライナにおける非核化協力に積極的に取り組んで、旧ソ連時代の核兵器の安全な廃棄、核不拡散及び環境問題の解決に向けた協力を行ってまいりました。ウクライナが安全に非核化に至ったということを評価をしておるところでございます。  なお、九四年の十二月ですが、ウクライナが非核兵器国として核不拡散条約、NPTに加入いたしまして、旧ソ連が配置した残存の核兵器を放棄する代わりに、米国、英国、そしてロシアがウクライナの領土の一体性や政治的独立を保障して既存の国境を尊重するということが確認され、いわゆる今お触れいただきましたブダペスト覚書が、当該の四か国、これはロシアが入っているわけでございまして、この四か国の間で取り交わされたと承知をしております。  今回のロシアは、まさにこのブダペスト覚書に反してウクライナ侵略を行ったわけでございます。こうしたロシアの行いというのは、ウクライナの抑止力を問う以前の問題として、国際秩序の根幹を揺るがす行為であり、明白な国際法違反として厳しく非難をされるべきものであると考えております。

○太委員 大臣、ありがとうございます。  まさにロシアも含めた中でのブダペスト覚書でありました。ですが、もちろん、ウクライナでも非核化が進んでいったこと、このことは物すごい意義深いことだと思っておりますし、我が国としても、これは二億円近いでしょうか、しっかりと二億円近くの予算をつぎ込んで、ハリコフ物理技術研究所、まさにここは、先日ロシアが原発の攻撃のその次にこの核施設に攻撃をしたところなんですが、ハリコフ、そこに対して、我が国としてはずっと関わって核不拡散に取り組んできた、このことは大きいと思っております。  だからこそ、改めて、今回ウクライナの安全が保障されなかったことに対して我々としてはもっともっと危機感を持って、私はこのウクライナの問題に当たっていかなきゃいけないと思っております。  そして、このことと関連しまして、次に、東アジア情勢。  今回、軽々に私はウクライナと台湾を比べることをしちゃいけないと思っておりますが、一方、これは台湾政府からも、ウクライナと台湾は違うと。政府からもしっかりと改めてそういった声明が出されたり、逆に言うと、いろいろな意味で、我が国としてはこの違いというのをどう見ているのか。ロシアとウクライナ、台湾と中国、同じ民族で同質性が高かったからこそ、この後どうなっていくのかというところを含めて、大臣、どのように見ていらっしゃるのか、そこを教えていただけますでしょうか。お願いいたします。

○林国務大臣 今回のロシアによるウクライナへの侵略が国際社会の個別の事案に及ぼし得る影響、これについても不断に分析をしておるわけでございますが、事柄の性質上、その具体的な内容についてはお答えをすることは差し控えたいというふうに思います。  既に総理も、これはヨーロッパの方にとどまるものではなくて世界の秩序の根幹を揺るがすものであると、これは私も申し上げておりますし、そういった意味で、インド太平洋、さらには東アジアにも影響を及ぼす事態であるということは申し上げてきておるところでございます。  そういった意味で、今年の二月にアメリカがインド太平洋戦略というのを公表しておりますが、ここには、台湾の自衛能力を支援することを含め、地域内外のパートナーと協力し、台湾海峡の平和と安定を維持する等、こういう記述がございまして、これはアメリカの台湾に関する立場を改めて示したものだと考えております。  台湾有事という仮定の質問にお答えすることは難しいわけですが、日米間でも、首脳会談や日米2プラス2などにおいて、台湾海峡の平和と安定の重要性、これについての認識を共有しておるところでございます。

○太委員 御指摘のとおりで、アメリカとしては、今、台湾国内に対しても、また国際社会、また中国に対しても、相当これを意識して様々な情報発信をしている。あるいは軍のOBの方も派遣して、そういったいろいろな形で、台湾とウクライナは違うということを私は示してくれていると思っております。  しかし、一方で、台湾関係法、ウクライナではブダペスト覚書がありました。逆にそれは、残念ながらほごにされました。別にこれはアメリカだけのせいじゃないと思っておりますが、ですけれども、安全保障は国際社会がしっかりと確保していこうという約束でありましたけれども、それは結局は、アメリカは昨年の末の時点から、軍事的な関与をしないということを明言されていました。実際、しませんでした。  今回、台湾関係法も、貿易額も、あるいは半導体を始め、そういったいろんなつながりも含めて、もちろん比較はできませんが、一方、台湾関係法に関しても、アメリカの国内法、台湾有事への軍事介入は確約しない、こういったことをもっとしっかりと我々も認識をして、どうアメリカをしっかりつなぎ止めていくのか、そこを引き続き大臣にも続けていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それと、続きまして、そこに追加してになります。  今、国内的にも、ウクライナ情勢を受けて、週末、幾つかの世論調査も出ました。読売新聞でしたか、国民の八一%が、このウクライナ情勢を受けて、我が国の安全保障に対する懸念もやはり出てきているという、相当、私としては、これは重たい数字だと思っております。その点に関して、もう一度、大臣、どうか御見解をお願いいたします。

○林国務大臣 国民の皆様の御心配がそうした世論調査にも表れているという御指摘でございますけれども、先ほど東アジアへの影響についてもお話ししたとおりでございまして、台湾有事という仮定の質問についてはお答えは差し控えたいと思いますが、台湾海峡の平和と安定は、日本の安全保障はもとよりでございますが、国際社会の安定にとっても重要でございます。  台湾をめぐる問題、これは対話により平和的に解決されることを期待するというのが我々の、従来からの一貫した我が国の立場でございますが、そうした立場から、台湾をめぐる情勢について、引き続き関心を持って注視をしてまいります。  あくまで一般論として申し上げますが、我が国を取り巻く安全保障環境、これが一層厳しさを増す中で、政府としては、いかなる事態に対しても対応できるように、平素から体制の整備を含めて万全を期していくということは当然である、これは申し上げておかなければならないと思います。

○太委員 ありがとうございます。  まさに台湾国内としても、自分たちの自助努力を相当しながら、退役軍人、予備役の戦力強化等も相当意識して行っておりますので、どうか引き続きの備えを我が国としてもお願いをいたします。  そして次に、ちょっと順番が変わってしまいますが、我が国のインテリジェンス機能についてということで、先ほども言いました、今回のウクライナ情勢において、アメリカの動きというのは相当我々、もう一度慎重に見極めていかなきゃいけないと思っております。  早い段階で、軍事介入はしない、そして同時に、今回行っていたのが、まさに機密情報を開示したり、あるいは公開するということをアメリカが相当積極的に行っていた、あとイギリスもそうだったと思いますが。そういった中で、特に米国のこういった動きに関して、外務省さんとしてどのように認識されているのか、御見解をお願いいたします。

○市川政府参考人 お答え申し上げます。  米国がウクライナ情勢をめぐり対外的に発信してきた情報がインテリジェンス情報に当たるか否かにつきましては、政府としてはコメントする立場にはございません。  その上で申し上げれば、今回のロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす行為であります。明白な国際法違反であり、断じて許容できず、厳しく非難をするものでございます。こうした暴挙には高い代償が伴うことを国際社会が連携して示していくことが重要と考えてございます。  米国が、幅広く収集した情報も踏まえましてロシアの動向に関する見通しを積極的に発信し、国際社会に対して連帯を訴えてきたことによりまして、ウクライナ危機への対応に当たり、G7を始めとする国際社会において、非常に広範な連帯が生まれていると認識してございます。このことは、ウクライナ危機をめぐる国連総会緊急特別会合で、ロシア軍の完全撤退などを要求する決議案が百四十一か国の圧倒的多数で採択されたことにも端的に表れてございます。  我が国といたしましては、まずは、これまでに発表した措置を速やかに実施すべく必要な手続を進めるとともに、今後の状況を踏まえつつ、G7を始めとする国際社会と連携して、適切に取り組んでまいりたいと考えてございます。

○太委員 ありがとうございます。  ただ、今回そういった形で、アメリカが、これまで余りなかったことだと思っております。しかも大規模に機密情報を相当出している。それに対する御認識ということをもう一度。これまでないことだったと思うんですが、それともあったということですか。どういった認識なのかも含めて、そこを。  あと、ごめんなさい、もう一つ追加で。  では、外務省としては、これはもちろん言えないところは相当あると思います。ですけれども、どの程度独自の情報も、今回のロシアの、先月の二十四日の侵攻に対しての。そこも含めて、ちょっともう一度、申し訳ないですが。  これは大きな私は転換があったんじゃないかと思っております。そこの御認識を。あるのかないか、どうか。お願いいたします。

○市川政府参考人 先ほども申し上げましたが、この度のウクライナ情勢をめぐりましては、米国は、幅広く収集した情報も踏まえてロシアの動向に関する見通しを積極的に発信をしたということで、これは、国際社会に対して連帯を、そうしたことを通じて訴えてきたというところと認識しております。それによって、G7を始めとする国際社会において、非常に広範な連帯が生まれたというふうに考えてございます。  日米間で、様々な緊密な連携の下でウクライナ情勢にも対応してきてございますけれども、その詳細につきましては、外交上のやり取りでもございますので、差し控えさせていただきたいと思います。

○山内政府参考人 インテリジェンス関係の部分についてお答え申し上げます。  ウクライナをめぐる緊張の高まりを受け、政府として、ロシアによる侵攻の可能性も含め、重大な関心を持って、随時情報収集、分析に努めていたところでございます。  外務省としても、在外公館等を通して、インテリジェンス情報を含め、鋭意情報収集、分析に努めているほか、内閣衛星情報センターを含めて、関係各省庁、関係国情報機関とも緊密に連携し、情報交換を行っているところでございます。  その内容については、日本の情報収集、分析の実態に関わるものでございますから、具体的に申し上げることは困難でございますけれども、いずれにいたしましても、今後もこうした取組を進めつつ、引き続き情報の収集、分析に万全を期してまいりたい、そう思っております。  以上でございます。

○太委員 ありがとうございます。米国の様々な情報を受け取っていたということで認識いたしました。  防衛省さんの方からも御見解、同じ質問です。  今回、これまでどおりだという認識なのか、あるいは、何かこれまでと違う、そういった情報開示を米国がしていたのかと、あと、独自に防衛省としての情報、もちろんいろいろ制限はあると思いますが、その点に関して御返答をお願いいたします。

○大和政府参考人 お答え申し上げます。  アメリカ政府は、今般のロシアによるウクライナ侵略に際して、様々な情報収集活動を行ってきていると考えられます。ただ、他国政府が実施しているとされる情報活動について、防衛省としてお答えする立場にはございません。  いずれにせよ、防衛省としては、ウクライナ侵略に関連する軍事動向については、引き続き重大な懸念と関心を持って情報を、行ってまいります。  それから、防衛省の情報収集活動でございますが、今般のロシアによるウクライナ侵略に際しては、様々な情報収集、分析を防衛省として行ってきているところであります。その細部についてはお答えを差し控えたいと思いますが、一般論として申し上げれば、防衛省においては、中央情報機関である情報本部を中心に、平素から、電波情報、画像情報、人的情報、公開情報などの各種情報を収集するとともに、同盟国である米国を始めとする様々な国々との情報交換を行い、国際軍事情勢の分析を行ってきているところであります。引き続き、情報収集、分析に努めてまいりたいと存じます。以上です。

○太委員 ありがとうございます。残念ながら、政府の、あるいは両省庁の見解をちょっと聞けなかったんですが、私は、いろいろな意味で大きくアメリカの行動というのは変わってくるんじゃないか、そのきっかけなのかなというふうに考えております。  というのも、二〇一三年、オバマ政権のときに、既にアメリカは、もちろん、世界の警察官ということはもうやめるとはっきり言っています。トランプ政権は終わりました。今、バイデン政権の中で、今回、また繰り返しになってしまいますが、ウクライナに関しては軍事的な介入はしないと明言して、先ほど来御説明あったように、様々な情報を公開、開示することによって、確かに、同盟国あるいは仲間内での連帯はできたと思います。それで、この抑止をしっかりしていこう、それぞれがちゃんと意識を持ってやってもらうということだったと思うんですが。  そういった意味で、私は、これからアメリカの様々な国際紛争に対する対処の仕方として、今後、同じように、先ほども言いました、東アジア情勢でもこういったことになりかねないんじゃないかと思っておりますので、引き続きこの問題、私自身も相当関心を持ってやっていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  次に移ります。  いずれにしましても、今のウクライナ情勢は、外務省さんとしても、いろいろと政府関係者の皆さんが御尽力されて、何とか早期に停戦協定なり軍事的な行動を終わらせるという方向に向けて進んでいくことが大事だと思っております。  その上で、ロシアに対して何らかのアプローチというのは、外務省としてなさっていますでしょうか。大臣にお伺いいたします。

○林国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、特にG7各国や同志国と連携をしながら、制裁や外交努力を重ねてきておるところでございますが、それぞれの国とどういうふうなやり取りをしているかというのは、なかなかつまびらかにここでお答えできないところではあるわけでございます。  ロシアとは領土問題を解決して平和条約を締結する、この基本的な立場は変わっておらないわけでございますが、これは総理も何度も答弁されておられるように、こういう状況の中で、今その見通しについて申し上げられる状況ではないというふうに私も総理も申し上げてきているところでございます。

○太委員 その状況、よく分かりますし、私も、今こそしっかりとロシアに対しては厳しい措置をしていくべきだと思っております。ですが、一方で、ロシアに対しても、この状況が続くと一番何が問題かというと、やはり私は、ウクライナで本当に無辜の市民がどんどん亡くなってしまっていくこと、犠牲になることだと思っておりますので、これはやはり、どこでしっかりとこの落としどころというか収束させていくか、そこだと思っておりますので、それに向けて、あらゆるチャンネルを使って、是非とも、政府としても、外務省としても取組を進めていただきたい。  といいつつも、既に、ロシアからすると我が国というのは非友好国ということで認定されておると昨日ですか、報道もされていましたが、一方、アメリカはこの状況の中でも、これは国防総省ですが、ちゃんとロシアの国防省とのホットラインの設置をしたり、様々やはり動いています。  そういった意味で、我が国としても、あらゆるルートを使って、特に、この間の、安倍政権のときからのいろいろなつながりもあると思います。あと、岸田総理はまさにラブロフ外相とのウォッカの飲み仲間という、そういったのもありましたが、総理からも先方の外務大臣にアプローチしていく、そういったことを含めて、続けていただきたいと思っております。  あと、もう一つ、今回のロシア制裁によって、特にSWIFTを通して、私は、もちろん、先ほども言いました、とにかく今は強硬に対処していくべきです。しかし、我が国としては、一方で、中長期的な視点というのも持っていなきゃいけないと思っております。  今回、SWIFT排除を始め国際金融システムからのロシアの隔離を進めれば、必然的に中国との決済が増え、また、ドル離れ、米国の金融システムの覇権の低下につながるおそれがあると思っておりますが、まさに、安倍政権の中での外交の中では、どう中国とロシアを離していくかというのが主眼にあったと思っておりますが、そういった意味で、外務省として、大臣としては、中ロを今回相当結束させてしまうことに関してはどういった見解を持っているのか、お願いをいたします。

○林国務大臣 制裁につきましては、先ほど委員も少しお触れになっていただいたような、SWIFTから排除されるロシアの七銀行に対する資産凍結、それからロシア中央銀行との取引制限、こういったことを含む対ロ制裁をやってきておるわけでございます。  そして、中国とのロシアの連携ということですが、近年、大変緊密な関係を中ロは維持しておりまして、直近の首脳会談でも、NATOの拡大の反対、こういったことを盛り込んだ共同声明を採択しております。また、共同航行、共同飛行といった一連の動きを見ますと、日本周辺で軍事協力も緊密化をしているわけでございます。  こういった両国の対外政策を含む動向、これは我が国として引き続きしっかりと注視をしていかなければならないと思っております。

○太委員 ありがとうございます。引き続き、様々な働きかけをしていただきたく、お願いをいたします。  そして、今度、インドに関して。  今大臣からありましたように、中国を通してということも含めて、様々なアプローチをしていただきたい。これは岸田総理も言っていますので、様々な働きかけということを、本会議でも発言されていました、責任ある行動を呼びかけていくと。もう一つ、やはり私は、インド。元々伝統的に非同盟国ということで、長い歴史ある国で、ですけれども、大国です。  我が国としては、クアッドの中で、自由で、フリーでオープンな、そういった国際秩序を一緒につくっていこうという、もちろんこれはインド太平洋地域においてですが、先ほど言いましたように、やはりこの問題というのは、インド太平洋だけではなくて、世界全体に直結する問題だと思っておりますので、そういった意味でのインドに対する働きかけ、大臣として。  また、間もなく、今月中ですか、日印の首脳会談と聞いておりますが、まさにそれを前倒ししても、総理からもこの問題、ロシアへの働きかけということで、何らかの形で動かれているのかどうか、そちらを含めて御見解をお願いいたします。

○林国務大臣 インドとの関係では、二月十一日に日米豪印の外相会合を行っております。また、三月三日には日米豪印の首脳テレビ会議を行っておりまして、様々な機会を通じて、現下のウクライナをめぐる情勢について意思疎通を図ってきておるところでございます。  委員からお話がありましたように、インドは、基本的価値や戦略的利益を共有しておりまして、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた重要なパートナーでございます。  ウクライナ情勢の対応にかかわらず、日印二国間や日米豪印といった四か国で、地域情勢を含めて率直に意見交換をしながら、様々な形で協力を深めていくことに大きな意義がある、こういうふうに思っておりますので、引き続き緊密に連携していきたいと考えております。

○太委員 ありがとうございます。引き続き、どうかお願いいたします。  先ほど、ちょっと一つ質問し損ねてしまいまして、財務省の方に、今回のSWIFTからの排除に関して、このことが、これは外交的なというよりも、中ロの連携を強化していく方向に誘導してしまわないかという観点からの、この点に関して御見解をお聞かせいただけますでしょうか。お願いいたします。

○吉田政府参考人 お答え申し上げます。  今回のSWIFTからの排除が中国人民元への依存を高めることにつながるのではないかという方向からの御指摘かと思います。  そのような御指摘、世の中でもあることは承知しておりますが、我々、経済制裁を行うに当たりましては、制裁の実効性を最大限に高めつつ、制裁が実施されていない国や機関、分野等に資金が流れる等の副次的な効果をどう最小にするかを考えていくことが重要だと考えております。  こうした観点から、今般のロシアの七つの銀行をSWIFTから排除する措置については、日本といたしまして、SWIFTから排除される七行全てを資産凍結の対象とすることで、人民元を利用した取引を含めて、日本にある金融機関との取引を禁じたところでございます。  引き続き、人民元の動向を含め、SWIFTからのロシアの特定銀行の排除が国際通貨システムに与える影響についても注視してまいります。

○太委員 ありがとうございます。  どうか、今はとにかくしっかりとロシアに対する制裁強化という観点だと思いますが、引き続き、そこは冷静に見ながら進めていただきたく、お願いいたします。あと僅かになりましたが、改めて、冒頭でも言いました、まさにここは、我が国のリアリズムというか、現実的にしっかりとどう対処していくかだと思っておりますし、国民の生命財産を守り抜く、そして平和を守り抜く、そして世界平和に貢献していく、様々な意味で外務大臣のリーダーシップが問われていると思っておりますので、この日米地位協定のことも含めて、何とか御尽力いただければと思っておりますので、どうか引き続きよろしくお願いいたします。  時間になりましたので、これで終わります。どうもありがとうございます。