【国会活動】北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会で質疑に立ちました(2022年4月11日)

★質問要旨★

  1. 朝鮮総連に対する資産凍結措置について【拉致問題担当大臣】
  2. 拉致問題をめぐる外交交渉について【外務大臣】
  3. 自衛隊による拉致被害者の奪還について【拉致問題担当大臣】【防衛省】

★質疑映像★

★議事録★

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○長島委員長 次に、太栄志君。

○太委員 神奈川十三区の太栄志でございます。  本日は、初めての拉致特での質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、本日の委員会の開催に当たりまして、委員長を始め、与野党の筆頭理事の皆さん、また関係者の皆さん、開催に当たりましての御尽力に心からの感謝を申し上げます。  そして、ウクライナ戦争、本当に今深刻な状況が続いております。そういった中で、林外務大臣、また松野官房長官を始め政府関係者の皆さん、連日の御奮闘に心からの敬意を表します。  先ほど、我が党の鹿児島出身、野間健議員からありました。私も鹿児島出身でありますが、拉致被害者の増元るみ子さん、本日は、増元さんの弟さんの増元照明さんからいただきましたこの拉致バッジをつけて、私、質疑に立たせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。  今、国際情勢が激変しております。そういった中で、我が国は今、三正面からの脅威にさらされております。中国、ロシア、そして北朝鮮。北朝鮮、相次ぐミサイル発射、そして今週中にも再度核実験を行う、そんな情勢にも、そういったことも言われておりますが、北朝鮮との問題で一番の問題はまさに拉致問題であります。  北朝鮮の国家としての犯罪であり、そして我が国の主権が明確に侵害される、さらには人道的にも人権侵害が行われているこの問題、現在政府が認定しているだけでも十七名の方が被害者としており、また、警察庁が北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者としている方が八百七十三名、そのうち帰国を果たしたのは僅か五名。まさに、これだけ多くの自国民が救出されずにいる状況、これが今、我が国の現状であります。  私は、国会議員の責務は、国民の生活を守ること、命を守ること、そして国家の主権を守ることだと思っております。だからこそ、本日も、この国会における活発な拉致問題の議論を通して、北朝鮮に対する強いメッセージを発すること、また、国内、そして国際社会にもしっかりとした我が国の立ち位置を示していかなきゃいけないというふうに思っております。それはまさに、日本は必ず拉致被害者を取り戻す、この確固たる意思、国家意思を示すことだというふうに認識をしております。  そして、拉致問題、与党、野党は関係ありません。まさに総力を結集してオール・ジャパンで取り組んでいく、そういったスタンスから本日質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず最初に、官房長官、松野担当大臣にお伺いいたします。  今年は、横田めぐみさんを始めとする最初の拉致事件から四十五年です。そして、小泉訪朝から、二〇〇二年でした、二十年。残念ながら、この二十年間は特に、いまだに誰一人として帰国、救出できておりませんが、そういった中で、まず、この間の総括もそうなんですが、ちょっと時間がありませんので、大臣から、今後の具体的なロードマップ、この拉致問題に取り組んでいく上でのロードマップ、そして期限、ここに関して教えていただきたい。これは家族会の中からも、しっかりとそこは政府に示してほしいと先月の時点で出ておりますが、その点、今後の見通しに関して教えてください。お願いいたします。

○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。  まず、期限をというお話でございます。これが何年までとここで明言ができるような状況ではないということに関しては御理解をいただきたいと思いますが、先ほどもお話をさせていただきましたとおり、被害者の方々も、そして御家族も御高齢になられています。その状況の中にあって、一刻の猶予もならない、そういった時期に来ている、差し迫っている、そういう意識は政府が全員が持っているところでございます。  今後の、どういった進め方を考えているかということでございますけれども、先ほど来の質疑、御議論の中にもありましたとおり、最終的に、北朝鮮において、この問題を解決する、その決定ができる人間はお一人、トップのみであります。ですから、岸田総理も、前提条件をつけずにトップ会談をと再三表明をされておりますし、その状況をつくっていくことがこの解決に結びつくことだと思います。  その状況づくりに向けて、岸田総理も、私も、また各閣僚も、海外の要人、また会議において、必ずこの北朝鮮の問題に関してお願いをさせていただいておりますし、先ほど来御指摘をいただいておりますとおり、まず日本国民が、必ず拉致された方々を取り戻すんだという強い意思を心を一つにして示し続けることが大きな力になる、そういった思いで啓発活動にも取り組んでいるところでございます。  先生からお話をいただいたとおり、この問題、与野党なく国民全員で取り組んでいくという問題でございますので、拉致を必ず解決していくという問題に関して、その意識を高めるために是非御協力をいただきたいと思います。

○太委員 大臣、ありがとうございます。  ただ、残念ながら、これだと家族会の皆さんにも全く説明になっていないと思っております。大変厳しい状況だというのは重々承知しておりますが。  ここで、通知した順番とちょっと変わりますが、今大臣もおっしゃいました日朝首脳会談。  この二十年間、首脳会談が北朝鮮と行われていないのは、近隣諸国では日本だけです。南北、行われました。米朝も行われました。もちろん、中朝、ロシアと朝鮮は行われていました。二十年間、見事に我が国だけができていないこの状況。先ほど少し御説明されましたが、まさにこれも家族会の皆さんからも同じ要望が出ております、早期に日朝の首脳会談を実現をしてほしいと。  先ほど、残念ながら、期限等、全く見えてきませんでしたが、もう一度この点、これはもちろん、相手のあることです、簡単なことじゃないです、ですけれども、今どういった状況で進んでいるのか。そこら辺、お話しいただける範囲で、こちらは外務大臣でしょうか、御返答いただきたく、お願いをいたします。

○船越政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘いただきましたように、外務省といたしましても、まさに、北朝鮮に対しまして、拉致、核、ミサイル問題の包括的解決のために様々な働きかけを行っているところでございます。  また、岸田総理御自身、条件をつけずに金正恩総書記と向き合うという決意を明らかにされている中で、そうした点も踏まえまして、北朝鮮に対して様々な働きかけを行っているところでございます。  なお、残念ながら、まだ、そうした日朝首脳会談等については、決まっていることはございませんが、今後とも引き続き努力をしていきたいと考えております。

○太委員 できれば政治家の方からお願いできますでしょうか。外務大臣、どうかお願いいたします。

○林国務大臣 状況は、今、事実関係、局長から答弁したとおりでございます。  先ほどの委員の御質問にも御答弁したとおり、二〇〇二年五月以来御帰国がかなっていないというのは本当に申し訳ない思いでいっぱいでございますが、あらゆる機会を捉えて、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

○太委員 本当に残念な状況だと思っております。二十年です。我が国だけです。これは相当深刻に受け止めていただいて、もちろん、簡単ではないですが、やはり、この局面をどう打開していくのか、この後また具体的に述べさせていただきたいと思っておりますが、是非とも大臣、ここはリーダーシップを発揮していただきたい。どうかお願いいたします。  次に移りたいと思います。日米で、拉致問題への取組ということで、これはもうトップ同士で、今年も昨年も様々、累次の機会で拉致問題の情勢等を確認されていると思っております。  それで、私が今回問いたいのは、韓国とどういった形で北朝鮮問題、協議が行われているのか、その点を教えていただきたいと思っております。  もちろん、首脳同士では、昨年も今年も、昨年の文在寅大統領と、また今年も、尹新大統領、間もなくの、とのトップ会談、様々行われているというふうには認識しておりますが、具体的な、今度は韓国と実務間での両国間のやり取りに関して教えていただけますでしょうか。これは大臣じゃなくても、どうぞお願いいたします。

○船越政府参考人 お答え申し上げます。  委員から、実務間のやり取りも含めてという御指示でございましたので、私から失礼申し上げます。  拉致問題解決のために、我が国の取組に加えまして、韓国との緊密な連携も極めて重要であると考えております。  例えば、これは首脳レベルでございますが、昨年の十月に行われました日韓首脳会談におきまして、岸田総理から拉致問題について文在寅大統領に対して支持と協力を求めて、また、文在寅大統領から日本の立場への支持が示されました。  また、韓国の大統領選挙を受けまして、先般当選されました尹錫悦次期大統領との間でも電話会談を行い、緊密な連携を確認しているところでございます。  また、外務大臣の間でも、二月にホノルルで行われました日米韓外相会合におきまして、ブリンケン長官、鄭義溶外交部長官からも支持を得たところでございます。  以上に加えまして、実務レベルでございますけれども、私と韓国の魯圭悳朝鮮半島問題特別本部長との間でも頻繁に、また、ソン・キム・アメリカの特別代表を含めて三国間でも頻繁に、緊密に協議を行い、拉致問題についての連携を確認しているところでございます。

○太委員 前半の部分はもう了解しておりますので、後半部分で。  実務間でのまさに情報収集、また共有ですね、まさに韓国というのは一番情報を持っています。韓国も、五百十六名以上ですか、拉致されているという状況です。もう少し、どういった情報共有をされているのか、そこがポイントだと思っておりますので、もう一度教えてください。お願いいたします。

○船越政府参考人 お答え申し上げます。  実務レベルでの外交的なやり取りにつきまして、詳細をつまびらかにすることは差し控えさせていただきたいと存じますが、実務レベルにおきましても、例えば核・ミサイル問題につきましては、国連安保理での制裁、さらには独自制裁等について緊密に意見交換を行っているところでございます。  また、拉致問題につきましては、委員御指摘のとおり、韓国にもそうした問題がございます。そうした中で、韓国政府にも引き続き協力を求めておりますし、御案内のとおり、首脳レベルでも、南北首脳会談で韓国から北朝鮮に対して拉致問題を提起したという例もございます。  引き続き、緊密に協力していきたいと考えております。

○太委員 なかなか言えない部分はあると思います。  そういった中、尹新大統領、間もなく政権が、来月ですか、スタートする中で、先週、これはメディア報道ですが、岸田総理のイニシアチブで尹政権との両国関係を改善する具体策を検討するチームを立ち上げるということで、これがスタートしたと思うんですが、これは拉致問題は入っているんでしょうか、こちらに。お答えいただければ。

○船越政府参考人 委員御指摘につきましては、報道に基づいて御質問を頂戴したと想定いたしますが、その報道については、若干事実関係と異なるところは多うございます。  ただ、同時に、今後、韓国の新政権移行チーム、もう引継ぎ委員会というのが立ち上がっておりまして、そこに外交、安全保障の担当者の責任者というのはもう既に指名されております。そうした方々との間で、北朝鮮政策、核、ミサイル、拉致問題も含めて、緊密に協議、連携していきたいと考えております。

○太委員 はい、分かりました。  いずれにしましても、新しい政権がスタートします、保守政権。北朝鮮に対して融和的じゃない、そういった対応をしてくれると思いますので、まさに我が国としてはいろいろな意味でチャンスだと思っておりますので、それを是非とも生かしていただいて、あと、日米韓での連携も含めて、何とかこの拉致問題というところを林外務大臣のリーダーシップで進めていただきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。  ちょっと時間がないので、次に移ります。  今、様々説明もいただきました。我が国として、アメリカを含め、韓国ほかの友好国にも様々協力を呼びかけてやっていくということだと思っておりますが、では、担当大臣からもお話がありましたが、まずは、もちろん我が国がどう主体的にやっていくか、これがやはり基軸だと思っております。  そういった意味でも、ここでお伺いしたいのは、朝鮮総連に対して我が国として更に厳しい対処というのが必要じゃないかというふうに思っております。朝鮮総連は日本において北朝鮮公館の役割を担っています。そういった中で、日本政府として、朝鮮総連の幹部や朝鮮総連の傘下団体に対して、外為法に基づく資産凍結措置をするべきだと思っておりますが、外務大臣、御見解をお願いいたします。

○林国務大臣 政府といたしましては、現時点において、朝鮮総連が外為法上の要件の下で資産凍結等の措置の対象として指定すべき者に該当するものというふうには認識はしておりませんけれども、朝鮮総連については、今お話がありましたけれども、北朝鮮当局と密接な関係を有する団体である、そういうふうに認識をしておるところであります。各種動向について、引き続き、関係省庁間で連携しながら、重大な関心を持って情報収集等を行ってまいりたいと考えております。

○太委員 大臣、ありがとうございます。  ただ、先ほどから言っています、様々、今外交交渉を進めていますが、二十年間何もなかったです。進展ゼロです。そういった中で、どう今のこの局面を打開するか、そう考えたときに、やはり私は、今こそ我が国としてしっかりとした強い国家意思を示さなきゃいけないと思っております。  そういった意味でも、これは適当に言っているのではなく、まさにアメリカでは、既に二〇一七年、五年前に、これはトランプ政権発足直後でした、大統領令で、北朝鮮政府と労働党、金正恩総書記も含んで資産凍結を行っております。その一年後に起こったのは何かというと、シンガポールでの米朝首脳会談。  やはり、我が国として、何らかの形で、首脳会談をしっかりと見据えた動き、今、北朝鮮は、様々苦しい状況、先ほどの質問でもありました、こういった状況だからこそ、私は今こそ資産凍結をやるべきだと思っておりますし、先ほど言いましたように、アメリカとか韓国に拉致問題であらゆる要請をしているにもかかわらず、日本国内で金正恩氏を賛美するような団体が存在すること自体が、やはりこれはおかしいです。  明確な国家意思を示すためにも、朝鮮総連への断固たる措置、まさに解体が必要だと思っておりますので、どうか、外務大臣、この点、もう一度御見解を教えてください。お願いいたします。

○林国務大臣 政府の立場、先ほど申し上げたとおりでございまして、繰り返しになって恐縮でございますが、今委員がおっしゃったように、朝鮮総連については、北朝鮮当局と密接な関係を有する団体、こういう認識をしておりますので、まさに御指摘のように、各種動向について、引き続き、関係省庁間で連携しながら、重大な関心を持って情報収集等を行ってまいりたいと考えております。

○太委員 どうか引き続きお願いいたします。  最後に、もうこれはずっと、今日私が強くお伝えしたいのが、今のままじゃ、やはり駄目です。今の状況、局面を転換するために何かしなきゃいけない。そういったときに、本日もいらしています、特定失踪者問題調査会代表の荒木和博氏もいらっしゃいますが、御主張を私もいろいろと勉強させていただいているところなんですが、やはり、我が国としての強い国家意思を示すためにも、自衛隊の活動というのが私はあってしかるべきだと思っております。  これは、自国民が拉致された場合、奪還のために軍事行動を起こすことは国際法上問題ないのかどうか、こちら、防衛省、政務官でしょうか、どうか御見解をお願いいたします。

○船越政府参考人 御質問いただきましたのが国際法上の見解ということと御理解いたしまして、私の方から御答弁申し上げます。  海外におられる邦人の命をどのように守るかということにつきましては、国家にとって極めて重要な課題であると考えております。平和安全法制により、海外の邦人を守るための制度の充実を図ってきたところではございます。一方で、在外自国民の保護、救出は、一般的には領域国の同意又は要請を得て行われているというものでございます。  また、こうした国際法上の観点に加えまして、我が国憲法上の制約があり、自衛隊の活用ということについては限界があるということも事実ということは、これまで御答弁を申し上げているとおりでございます。  いずれにせよ、拉致問題は、岸田内閣の最重要課題であるとともに、我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題と認識しておりまして、一日も早い拉致被害者の方々の帰国の実現のために何ができるか、不断に検討を継続してまいりたいと存じます。

○太委員 まさに、政権としての最重要課題であれば、様々な制約を何とか乗り越えて、私としては、強い意思を示さなきゃいけないと思っております。  国際法上、様々な人質の救出作戦が行われてきました。米軍によるパナマ侵攻、イスラエル国防軍によるエンテベ空港奇襲作戦、ドイツ国防軍によるアルバニアの自国民保護でも用いられました。そういった意味で、何とかここ、いろいろあると思います、そこを何とか乗り越えていく。  そういった法的な問題と別に、自衛隊に与えられた任務に拉致被害者の救出は規定されていないというのが今現状。この奪還作戦の実行は大変厳しいです、今現状では。ですけれども、そこを何とか邦人保護のためにも人質救出、奪還作戦の実行を可能とするために必要な措置を講じてほしいと思っておりますが、こちらは防衛省の方からお願いいたします。

○上田政府参考人 お答え申し上げます。  ただいま外務省から説明ございましたように、まさに、我が国自衛隊による活動につきましては、国際法上の観点あるいは我が国憲法上の制約がございます。  そうした中、平和安全法制を整備する際に、まさに先ほど御説明いたしました、自衛隊による在外邦人等の救出や警護などの保護措置が新たに実施できるように規定されたところでございます。  こういった国際法あるいは憲法上の制約の中で、自衛隊法で与えられた任務につきまして、自衛隊としてそういった措置が適切に実施できますように、能力維持向上を図るための訓練を継続的に実施してまいりたいと思っております。

○太委員 いずれにしましても、とにかくあらゆる可能性を探っていくことだと思っております。米軍との共同作戦ということも想定しなきゃいけないと思っております。そういったことを是非とも進めていただきたいと思っております。  今朝、NHKを見られた方がいらっしゃると思いますが、拉致被害者の蓮池薫さんがこの二十年間を振り返っておっしゃった言葉。今この局面を打開するには、腹をくくった政治家が出てくれるかどうか、結局そこかなと思う、腹が決まれば、やる手だては生まれてくるだろうし、交渉のパイプも出てくるだろうということでありました。物すごい重たい言葉ですが、何とか私自身も微力を尽くしてまいりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。  どうもありがとうございました。