【国会活動】外務委員会で質疑に立ちました(2022年4月20日)

★質問要旨★

  1. 日米地位協定における環境補足協定について【外務大臣】
  2. 北朝鮮による日本人拉致問題について【外務大臣】
  3. 在外自国民の保護・救出について【外務大臣】【防衛省】
  4. 拡大抑止・非核三原則に関する議論について【外務大臣】
  5. 我が国のODA(政府開発援助)について【外務大臣】

★質疑映像★

★議事録★

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○城内委員長 次に、太栄志君。

○太委員 神奈川十三区の太栄志でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。  二月の二十四日にロシア・ウクライナ戦争が始まりました。それから間もなく二か月になりますが、やはり、大臣始め政府の皆さん、本当に連日、大きく情勢も刻々と変わっていく中での御尽力に心からの敬意を表します。  冒頭、委員長からも報告がありました、ウクライナ周辺の大使館への働きかけ。私も先日インド大使館のレセプションに参加しました。ロシア大使もいましたが、改めて、できる限りのことを進めていくこと、私からも、まさにインドのユニークな立ち位置をしっかりと活用していきたい、中長期的な視点を持ちながらも、ロシアへの働きかけをしっかりとということをお願いさせていただきましたが、また、私自身も、地元でも様々ウクライナへの支援をできないかということも進めております。  私の地元の大和市は、一九七〇年代後半以降、インドシナ難民を二千人規模で受け入れてきた、そういった実績があります。そういった意味でも、今回も、本当にこのウクライナの方たちへの人道支援を何とか進めていきたい、地域におけるそういった機運も高まっております。  そういった意味でも、是非とも政府の方には、外務省でも、難民を政府としてしっかりと受入れを拡大していく、そういったことをどうか続けていただきたいと思っておりますので、この点をまずお願いを申し上げます。  本日は、前回、前々回と、日米地位協定の中での環境補足協定、私の地元も米軍基地を二つ抱えておりますが、そこでも関わっております地位協定に関してまずお伺いし、その後、拉致問題。  先日も拉致特別委員会で少しお伺いしましたが、今年はいろいろな意味で拉致問題が節目の年となっていると思っております。横田めぐみさん始め最初の拉致被害者、拉致事件から四十五年、そして小泉訪朝、五名の方しか戻ってきませんでしたが、小泉訪朝から二十年。この二十年間なかなか、一人もそれ以降日本人を取り戻せていない、こういった中でどう局面を打開していくのか、そういったこと。  また、ロシアの核問題、核戦略を見据えながら、我が国としていかに核攻撃への備え、今、国民的な関心も相当高まっていると思っています。米国の核の傘、この拡大抑止、もう一度この確認をさせていただき、そして最後に、我が国のソフトパワーとしてのODAに関して問いたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず最初、日米地位協定における環境補足協定に関して、大臣にお伺いしたいと思っております。  私の地元、神奈川県綾瀬市、厚木基地を抱える市ですが、環境省が定める暫定目標値を、綾瀬市内で五十倍以上に、二桁、この暫定目標値を超えている、そういったPFOS、PFOA、これは沖縄で相当深刻な問題になっております、泡消火剤などで使われる高濃度の有機フッ素化合物が検出されております。この泡消火剤というのは発がん性などが指摘されており、日本国内では原則として製造も使用も今禁止されている物質であります。  さらに、私の地元、もう一つ、キャンプ座間もありまして、座間市では豊富な地下水を水道事業に使っておりまして、この座間市でも、最近同じような形で、米軍基地からではないかという不安が高まっておりまして、この点に関してお伺いしたいと思っております。  この問題は私は繰り返しお伺いしているんですが、やはり、昨年末から今年にかけて、年始にかけて、コロナのオミクロン株の米軍基地からの拡散が相当大きな深刻な問題になりました。これは私は同じことだと思っております、この環境汚染も。国民の健康とか命に直結する問題です。  だからこそ、今本当に我が国の平和とか国防、外交問題が大変重要な中で、何とか足下からしっかりと、崩れる日米関係が、おかしくなることをしっかりと食い止めていただきたいと思っていますので、そういった視点からも、二〇一五年に環境補足協定が成立しました。しかし、この環境補足協定でより運用面で改善されると思っておりましたが、残念ながら、これまで年一回行われていた環境省の立入検査もうまくできていない、こんな状況が続いています。  そこでお伺いしたいのが、立入り許可申請を自治体また日本側から申出をして、それを拒否された場合、更に上位の機関で協議を行うなど、我が国政府としてしっかりとした対応をしていただきたいと思っておりますが、この点に関して、大臣の御見解をお聞かせください。

○林国務大臣 環境補足協定第五条におきまして、協定の実施に関連して紛争が生じた場合には、日米合同委員会の設置について規定しております日米地位協定の第二十五条に定める手続に従ってその紛争を解決する、こう規定をしておるところでございます。  したがいまして、仮に環境補足協定に基づく立入り申請をめぐって日米間で意見が一致しない場合、具体的には、まずは日米合同委員会の枠組みにおいて協議を行いまして、これが問題を解決することができない場合には、まさに両政府間で協議をされることになるわけでございます。  また、環境補足協定に基づく立入り申請ができない場合であっても、日本側として、米軍施設・区域に源を発する環境汚染が発生し、地域社会の福祉に影響を与えていると信ずる合理的理由のある場合には、別途、既存の日米合同委員会合意に従って、米側に調査要請や立入り許可申請等を行うことが可能であります。  政府としては、地元の皆様の関心に応えられるように、こうした枠組みがしっかりと運用されていくということが重要であると考えておりまして、今年一月に行いました日米2プラス2において、私から、有機フッ素化合物である、今お話のありましたPFOS等をめぐる課題について、この2プラス2の場で協力を要請して、引き続き緊密に連携することを確認をしたところでございます。  この施設・区域内外の環境対策、これが実効的なものになりますように、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

○太委員 大臣、ありがとうございます。  もちろん、もろもろ取組をされて、また、2プラス2でも今年も協議されたということは承知しておりますが、一方で、私は、明文的にしっかりとした規定を設けるべきだと。これはやはり国民の健康、あと命に関わることですので、何とかもう一歩進んで取組を進めていただきたいと思っておりますので、どうかお願いいたします。  あと、この点に関して、では、どれだけ今在日米軍基地の中にPFOS等を始め環境汚染の物質や物資が保有されているのか、このことも私は個別に防衛省にも確認しているんですが、なかなか教えていただけないんです。大事な軍事的な機密情報であればなかなか言えないと思うんですが、これは別に関係ないですよね。  ですので、ここは、私がお伺いして一か月ぐらいたってようやく自衛隊の基地の保有量を教えていただいたんですが、在日米軍のことはまだ教えていただいていないです。そういった意味で、国民的な、この地域の住民にも安心していただくためには、まずここを何とか改善していただきたい。  またこの問題は私は様々な形で取り上げさせていただきたいと思っておりますので、足下から日米関係をしっかりと強化していきたいと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。  次に、北朝鮮による拉致問題についてお伺いしたいと思います。  先ほど言いましたように、この二十年間、一人も我が国としては日本人を取り戻すことができておりません。それどころか、今政府として認定している、警察庁も含めて認定している拉致被害者は八百九十名以上ですね。そのうち僅か五名しか帰国していない、八百八十五名以上がいまだに帰国できていない。  ずっと歴代政権では拉致問題というのは最重要課題と言っておりますが、ですけれども、この二十年間、北朝鮮の周辺国で、北朝鮮との首脳会談ができていないのは我が国だけです。アメリカもやりました。もちろん、南北もやっています。中国、ロシアは当然です。そういった中で、やはり何か打開していくためには、様々、私は、この対話と圧力の中でも特にまだまだ圧力が我が国は足りていないと思っております。  そこでまずお伺いしたいのが、我が国と北朝鮮との間では、小泉訪朝を受けての平壌宣言、そして二〇一五年ですか、ストックホルム合意がありますが、現在、北朝鮮は拉致問題はもう解決済みと言っている上に、一方的に、ストックホルム合意でなされた北朝鮮側の調査を中止したり、あるいは特別調査委員会の解体、これも宣言して、今この合意はほごにされている状況です。これを放置しているというのは、やはり我が国として相当深刻な問題、この北朝鮮の不誠実な対応を怒ることなく、了解していると誤解されかねないと私は思っております。  そういった意味でも、政権として最重要課題として本気で取り組んでいくのであれば、まず、我々日本国としての怒りを北朝鮮にしっかりと伝えなきゃ、意思表示だと思っておりますので、そういった意味で、まずは平壌宣言とストックホルム合意、この無効を宣言していく、そういった積極的な外交的な判断が必要だと思っておりますが、外務大臣の御見解をお願いいたします。

○林国務大臣 二〇〇二年九月の日朝平壌宣言、これは日朝双方の首脳の議論の結果として、日朝関係の今後の在り方を記しました両首脳により署名された文書でございまして、現在に至るまで北朝鮮側も否定をしておらないわけでございます。  一方、二〇一四年五月のストックホルム合意でございますが、それまで拉致問題は解決済みとしていた北朝鮮との間で固く閉ざされていた交渉の扉を開き、北朝鮮に拉致被害者を始めとする日本人に関する全ての問題を解決する意思、これを表明させた点で有意義であったと考えております。我が国としては、引き続きストックホルム合意は有効であると考えております。  北朝鮮が、我が国がストックホルム合意の破棄を公言したことになると一方的に主張し、全ての日本人に関する包括的調査を全面中止し、今委員からございましたように特別調査委員会の解体を宣言した、これは極めて遺憾であります。このことは累次にわたって申し上げてきておるところでございます。  我が国としては、日朝平壌宣言において確認された事項が誠実に実行される、このことが何より重要であると考えておりまして、北朝鮮に対してストックホルム合意の履行を求めつつ、一日も早い全ての拉致被害者の帰国を実現すべく、あらゆる努力を傾注してまいりたいと考えております。

○太委員 大臣、分かりました。  ですけれども、北朝鮮としては、これはまさに特別調査委員会も解体と言っています。そういった中で、我が国として本当に遺憾だと言い続けても全くこれは進展がありません。  この後、私はお伝えしたいと思っておりますが、我が国として、やはり国家意思が全く示されていないと思っております。それを示すのが、北朝鮮に対して、核その他の大量破壊兵器及び弾道ミサイル関連計画に関与した可能性のある団体と個人に対して、我が国としては制裁措置を行っております。アメリカも同じように制裁措置を行っております。  我が国としては百二十九団体、百二十個人。一方、アメリカは二百二十団体、百九十個人に対して。核とミサイル、アメリカも日本も一緒です。しかし、我が国は九百人近い日本人が今拉致されている状況、それなのに、なぜか我が国の方が北朝鮮に対する制裁が緩やかになっている、生ぬるい状況になっているというふうに思っておりまして、そういった意味でも、ずっとこの二十年間、全く進展がないです。  さらには、先月、家族会からも、拉致問題に関して、もちろん日朝首脳会談を早期にやってくれというふうにリクエストが来ていますし、さらには、今後どういうふうに政府として考えているのか、ロードマップと、あと期限を示してほしいというふうに家族会からもリクエストが出ています。  そこにも全く応えられていない、政権としての最重要課題であるにもかかわらず。やはり、そういった意味でも、私は本当にまだまだ生ぬるいと思っております。だからこそ、今回、ロシアに対しては厳しい、プーチン氏個人を含む資産凍結措置を講じております、家族も含めて。だけれども、なぜか北朝鮮に対しては余りにも緩過ぎると思っております。  そこでお伺いしたいのが、北朝鮮に対する外為法に基づく資産凍結措置の対象を、北朝鮮との密接な関係を有する個人、団体に拡大するべきだと考えておりますが、大臣の御見解をお願いいたします。教えてください。

○林国務大臣 北朝鮮に対しては、度重なる核実験や弾道ミサイル発射等を受けまして、安保理が国連憲章第七章の下で行動して、国連憲章第四十一条に基づく措置を取るということで、累次の安保理決議が採択をされておりまして、特定品目の輸出入禁止や資金移転防止措置等、極めて厳しい措置が課されてきております。  この国連の措置に加えて、我が国自身の措置として、北朝鮮との全ての品目の輸出入禁止等の措置を取ってきておりまして、北朝鮮への人、物、金の流れを厳しく規制する措置、これを実施してきております。  そして、四月一日でございますが、我が国の更なる対北朝鮮措置として、北朝鮮関連の安保理決議で禁止されている核・ミサイル開発に関与した四団体、九個人、これを外為法に基づく資産凍結等の対象として追加指定することにいたしました。  こうした状況を踏まえつつ、政府といたしましては、北朝鮮に対する対応について、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて何が最も効果的かという観点から不断に検討してきております。今後もしっかりと対応してまいりたいと思っております。

○太委員 アメリカと比べても、我が国は相当、まだまだ及び腰だと思っておりますし、ぬるいです。そういった意味では、大臣、これはまだまだ足りないです、本当に。そこを更に強化していただかないことには、対話と圧力、やはりまだまだ圧力が足りないと思っておりますので、そこを進めながら、何とか日朝首脳会談、これは家族会の思いであると思っておりますので、どうか、これは国家のまさに存在意義自体が問われておりますので、引き続きの対応をよろしくお願いいたします。  次に移りたいと思います。  またこれは北朝鮮とも関係するんですが、在外邦人の保護、救出についてお伺いしたいと思います。  まず、一般論として、これは北朝鮮の拉致被害者の奪還というわけではないです、それとは別です、自衛隊に人質奪還作戦を遂行する実力があるのかどうか。また、追加で、そういった演習などを実施したことがあるのかどうか。そこを政府参考人の方でどうかお願いいたします。

○町田政府参考人 お答えいたします。  海外で日本人が危機にさらされたとき、その救出について対応できるようにすることは、国として当然の責務であると考えており、政府としては、平素から、様々な状況を想定し、必要な準備、検討を行っているところです。  その上で、御指摘のような在外邦人等の保護に関しては、個別具体的に様々なケースがあり得ることに加え、自衛隊の具体的な能力は我が方の手のうちに関わるため、お答えを差し控えますが、いずれにしても、防衛省・自衛隊としては、在外邦人等保護措置を含め、必要な体制を取るとともに、各種訓練についても順次実施しているところであり、引き続き、関係省庁間で緊密な連携を保持しながら、在外邦人等の安全確保に万全を期していく所存でございます。

○太委員 分かりました。  これは、もちろん自衛隊法等あると思うんですが、政府のどういった規定の中でそういった在外邦人の保護措置が取られているのか教えていただけますでしょうか。あと、政府としての国家安全保障の中でどのようにこのことが位置づけられているのか、あるいは位置づけられていないのかどうか。この点、もし教えていただけるのであれば、この点は事前通告していなかったのですが、可能な範囲でお答えください。

○町田政府参考人 お答えいたします。  自衛隊が在外邦人等の保護措置を行うに当たりましては、自衛隊法八十四条の三に規定がございます。  ここで、実施するに当たっては、当該外国の権限ある当局が現に公共の安全と秩序の維持に当たっており、戦闘行為が行われるようなことがないと認められること、そして、当該外国の同意があること、そして、外国の権限ある当局の間と我が国の自衛隊の部隊の連携協力が確保されている、それが見込まれるときに実施できる、このように自衛隊法に規定されております。

○太委員 では、現在の国家安全保障戦略の中には規定はないということで、そういった認識でよろしいでしょうか。特段そういう規定はないということですね。分かりました。もしお答えいただけるのであれば、教えていただけますか。

○町田政府参考人 お答えいたします。  大変申し訳ございません。ちょっとそこの部分、手元に資料がないもので、大変申し訳ございませんが、お答えを差し控えさせていただきます。申し訳ございません。

○太委員 失礼いたしました。ありがとうございます、お答えいただきまして。  それでは、ここでお伺いしたいと思っております。  在外において被害に遭った際に、その被害者を救出するのはまさに国としての責務だと思っております。先ほどお話ありました、冒頭で。北朝鮮に拉致された被害者を救出するのは我が国しかないと思っております。  これは仮定の話でできないかもしれませんが、朝鮮半島有事や現政権が崩壊して体制に変化が生じ、拉致被害者の位置情報など奪還のインテリジェンスが整った場合など、拉致被害者全員を救出できる機会が到来した際に自衛隊を活用できる体制、法整備を行うということは国家の責務であると思っておりますが、こういった在外邦人の救出、奪還作戦、拉致被害者を奪還するため、自衛隊を実行可能にするために必要な措置を講ずるべきだと考えますが、この点に関しての御見解。ちょっとこれは物すごい過激な見解じゃないかと思われるかもしれないんですが、この後、各国の在り方というのをちょっとまた説明したいと思いますが、まず冒頭、ここで、我が国の自衛隊の方に関して教えてください。

○船越政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のように、海外におられる邦人の命をどのように守るかということにつきましては、国家にとって極めて重要な課題でございまして、また、御指摘いただきましたように、拉致問題は内閣の最重要課題でございます。  平和安全法制により、海外の邦人を守るための制度の充実を図ってきたところではございますが、一方で、在外自国民の保護、救出は、一般的には領域国の同意又は要請で行われるものであると考えております。  また、こうした国際法上の観点に加えまして、我が国憲法上の制約もございまして、自衛隊の活用には限界があるということはこれまでも御答弁申し上げているところでございます。  いずれにいたしましても、拉致問題は内閣の最重要課題でありますとともに、我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重要な、重大な問題であるということでございまして、今後とも、全ての拉致被害者の一日も早い帰国の実現のため何ができるか、不断の検討を継続してまいりたいと存じます。

○太委員 ありがとうございます。  私は、まさに国際法上、また国内法上いろいろ考えなきゃいけないと思っております。  まず、国際法上は、海外における自国民保護について、自衛権の適用をうたっている国も幾つもあると思っております。そういった中で、領域国の同意を得られずとも動かざるを得ない、そういった局面は起こり得ると思います。  国際法上は、事態が切迫しており、ほかに手段がないなどの要件を満たせば、領域国の同意がない場合でも在外邦人を保護するために必要最小限度の武力を行使することは、諸外国において自衛権の行使として容認される場合がありますが、この点に関して、よろしくお願いいたします。

○鯰政府参考人 御質問は、先ほども議論になりました自衛隊法第八十四条の三の在外邦人の救出等保護措置について、すなわち、緊急事態に際して在外邦人の生命又は身体に危害が加えられるおそれがあるケースについてのものと理解されますけれども、このようなケースにおいても、在外邦人の保護は、一般には領域国の同意を得て行うものであると考えております。  他方、純粋な国際法上の議論といたしましては、極めて例外的な場合には、また慎重に考えるべきことではありますけれども、在外自国民を保護、救出するために必要最小限度の実力を行使することが自衛の措置として認められることもあり得るということを従来答弁しておりますけれども、自衛隊の活動ということにつきましては、国際法上の観点に加え、先ほども同僚が答弁しましたが、我が国憲法上及び国内法上の制約があり、まさに自衛隊法八十四条の三では領域国の同意が要件となっているのであって、御指摘のようなケースにおいて、自衛隊の活用には限界があると承知をいたしております。

○太委員 どうもありがとうございます。  国内法よりも、まず国際法の観点からということで、例外的にはそういった可能性も出てくるということで、御見解をいただきました。ありがとうございました。  まず、ちょっと戻ってしまいますが、アメリカと比べるのはどうかという部分はあるかもしれませんが、やはり、自国民をしっかりと海外でも守っていくという意思を示すという意味では、私、しっかりと学ぶべき点も多いと思っております。  アメリカでは、国家安全保障戦略において、我々の基本的な責任は、アメリカの人民、国土及びアメリカの生活様式を保護することであると述べている中で、在外自国民についても同様でありということで明言をして、国内外の所在を問わずに国民の生命、自由及び財産を保護することが政府の偉大な目標と義務であるというふうに明言をしております。  これは、我が国と同じように、様々な海外での武力行使に関して制約が慎重であるドイツでは、非戦闘員退避活動に対応するのは、在外自国民の退避に関して、二〇一一年、防衛政策方針の中でも、ドイツ国民は、外国における直接の危険に対して、軍隊の出動によって、また国家の責任においても、最大限にこれを救出し、又は退避させることができなければならないというふうに明確に述べているんですね。これは、アメリカにしても、先ほど言いました、まさに自衛権の行使として、強行的に在外自国民保護が国際法上容認されると。  これは国際法上いろいろと議論が分かれているというのは承知しております。しかし、そういった形でアメリカは、一九七四年のカンボジア以降九回にわたって、二〇〇六年、レバノンでも行っていますね。ドイツも五回。ドイツは、一九九七年、アルバニアで自国民保護を行ったときに、実は、ドイツ国民は二十一名、外国人九十五名救出したんですが、その中に日本人も十四名含まれていたという中で、ドイツの軍人が三百二十三人このオペレーションに加わった中で、そういった活動を行っております。  そういった意味で、我が国としても、もちろん国際法上様々あります、あと国内法上もあるというのは重々承知しておりますが、やはりここは国家としての、どう自国民を守っていくのか、そこをもう一度最優先して、私は、この他国の様々な例を学びながら、参考にしながら、拉致されている少なくとも八百九十名以上の方たちをどう取り戻していくかということに知恵を出して乗り越えていかなきゃいけないと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それと関連しまして、これは拉致だけじゃなく、まさに朝鮮半島、台湾海峡有事においても、やはり今の日本の現行の法制下では邦人救出は不可能に近いという状況だと思っております。ですけれども、本当にこれでいいんでしょうか。これは相当様々な形で、近い将来のこういった有事が懸念が高まっていく中で、様々シミュレーションしようと思いますが、外務大臣にお伺いしたいのが、例えば、それじゃ、台湾海峡で大規模な武力衝突が発生した場合、台湾での邦人保護には当該国の許可が必要だと思いますが、その場合は中国政府の同意を得る、同意が必要かどうか。もう様々これは国会でも聞かれていると思いますが、この点を教えてください。

○林国務大臣 海外に渡航、滞在する邦人の保護、これは外務省の最も重要な責務の一つでございまして、平素から、在外邦人の保護や退避が必要となる様々な状況を想定し、必要な準備、検討を行っておりまして、邦人保護の強化を図っているところでございます。  有事における我が国の個々の対応について、個別具体的な国、地域名を挙げてつまびらかにすることは事柄の性質上差し控えますけれども、いずれにいたしましても、邦人の安全確保、これに万全を期する考えでございます。

○太委員 もちろん、これはなかなか厳しい問題で、簡単に答えられないとは思いますが、ですけれども、大臣、一番大事なのは、本当に有事の際にどう国民を守っていくのか、そういった意味で迅速に対応していただけるのかというのが一番の課題だと思っております。  台湾には今約二万五千人の在外邦人、台湾有事のときには、沖縄本島を始め南西諸島を含めて数万規模の離島住民、これは国民保護もしなきゃいけないんです。ですけれども、私は安全保障委員会で先日も質問しましたが、台湾有事の際あるいは存立危機事態や重要影響事態のときに、国民保護法が適用されるというふうになっていないんですよ。そういった意味では、本当に迅速に対応できるかどうか、国民を本当に守れるかどうかというところを、もう一度政府としてしっかりと、特に、そういった意味でいろいろシミュレーションされてやっているとは思うんですが、有事になってからどこに対応するのかとかではなく、しっかりと対応していただきたいと思っておりますので、どうぞこの点、よろしくお願いいたします。  続きまして、拡大抑止に関してお伺いしたいと思っております。  今回のウクライナ戦争を受けて、様々、ロシアが核兵器の使用等もほのめかしながら、また、ロシアという国は、核保有国の中で唯一、核の先制使用をドクトリンの中にしっかりと明記している国です。そういった意味で、この隣国に対して我々としてはどう対処していくのか。  また、今回のウクライナ戦争を受けて、国民の中でも相当不安が高まっておりまして、これは毎日新聞の調査でした。ニュークリアシェアリング、核共有に関して、これに対しては賛成している方は少ないです。ですが、一方で、核共有に関しての議論はしていくべきだという方が五割を超えています。そういった意味で、やはりいろいろな意味で、また各種調査でも、八割から九割の国民が今我が国の平和とか安全保障に対して不安を抱いているという状況です。  そういった意味で、これは前回もお伺いしました。ですが、改めて私は、米国の核の傘、やはり我が国としては核なき世界というのをしっかりと掲げながら、ニュークリアシェアリングで、国内に核を配備していく、そんなことではなく、そこはしっかりと歯止めをかけながら、いかに今の日米関係の中で米国拡大抑止を担保していくのか、確保していくのか、そのことが重要だと思っておりまして、改めてお伺いしたいんですが、二〇一〇年以降、民主党政権時代以降にスタートした審議官級での日米拡大抑止協議、これを事務レベルから閣僚級に上げていただきたい。あえてこれは上げていただきたいと思っているんですが、この点に関する大臣の御見解、再度お願いいたします。

○林国務大臣 我が国を取り巻く安全保障環境や、現実に核兵器が存在していることを踏まえれば、核抑止力を含む米国の拡大抑止、これは不可欠でございまして、米国と緊密に協議、協力していくことが重要であると考えるわけでございます。  日米間では、そうした文脈において、御指摘いただきました日米拡大抑止協議の場を含め、様々なやり取りを行っております。  私自身、今年一月の日米2プラス2におきまして、閣僚レベルで、日米両国が、米国の拡大抑止が信頼に基づき、強靱なものであり続けることを確保することの決定的な重要性、これを両国で確認をしたところでございます。  まさにそういった意味では、この拡大抑止協議、審議官級で、双方の、両国の外務、国防当局ということでやっておりますので、それを閣僚級に引き上げますと2プラス2ということになるわけでございまして、ただ形としてなるだけではなくて、しっかりそこでやったことを踏まえて、閣僚級の2プラス2でこの議論を確認するという意味で、大変大事なことであるというふうに思っております。  今の先生の御指摘も踏まえながら、引き続き、米国の拡大抑止の信頼性の維持強化に向けて、日米間でしっかりと協議を行ってまいりたいと考えております。

○太委員 大臣、前回同様のお答えをいただきまして、ありがとうございます。  まさに今そういった現状だということはよく分かりました。ですけれども、一方で、やはり今国民的に、先ほど言いました、本当に様々不安が高まっています。我が国としても、アメリカに対して、この拡大抑止においては、見捨てられる恐怖と、あと巻き込まれる恐怖、二つあると思っています。  そういった意味で、やはり一番大事なのは、我が国はどう、これは相当難しいと思います、まだニュークリアシェアリングをやっているNATOでもこれを実現できていないと思っておりますが、ですけれども、NATOは、ニュークリア・プランニング・グループの中で、運用から計画、そして意思決定まで何とか米軍と一緒にやっていこうという様々試みがあります。  我が国は、やはり一歩踏み込んでそこに行かなきゃいけないと思っておりますので、やはり米国が必要以上に核攻撃をしてしまう、そういったときに、しっかりと我が国の意思として、巻き込まれることに対して意思表示のできる、あるいは、本当に必要なときにちゃんとしっかりと対処していただける、そのことを担保するためには、私は今からでも遅いぐらいだと思っています。早急に、まさに拡大抑止の問題で、もう2プラス2といったら、いろんなことを広く扱うわけですよね。けれども、本当にお伺いしたいのが、じゃ、どれほど拡大抑止に関してこの2プラス2で協議されたのか。まだまだ足りないですよ、そんなものでは。  そういった意味で、確認だけじゃなくて、具体的に、政治家が、閣僚が、この拡大抑止の運用と計画と、あと意思決定まで意識して、ちゃんとノーと言える、そこまで目指して私はやっていただかなきゃいけないと思いますので、あえて、大臣、これは本当に重要な点だと思っていますし、私は、NATOから学ぶニュークリアシェアリング、配備するのはやっちゃいけないと思っています、これは絶対に。ですが、一方で、やはりニュークリアシェアリングから学ぶべきは、運用と意思決定に何とか入っていく、そこを目指して何らかの工夫を、取組をしていただきたいと思っていますので、どうかこの点、よろしくお願いいたします。  もう一度、大臣、何かコメントをいただけないでしょうか。何とかできないものでしょうか、林大臣のリーダーシップで。どうかお願いいたします。

○林国務大臣 委員の熱いお気持ちはしっかり受け止めたところでございます。  お気持ちだけではなくて、重要性ということは私も重々承知をしておるというふうに考えておるところでございまして、先ほども申し上げましたけれども、日米両国において、米国の拡大抑止というのが信頼に基づいている、ここが一つの大事なポイントであろうというふうに思っております。強靱なものというものもその後続いてくるわけですが、やはりそのことをしっかりと確認をするということ。  2プラス2の場、通常でありますと年に一回強のペースで行うわけでございますから、しっかりと会ってこのことを確認して、そして更に協議を行っていくということで、委員の御指摘も踏まえながらしっかり対応してまいりたいと思っております。

○太委員 大臣、引き続きこの問題、拡大抑止をしっかりと担保していくこと、そこだと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。  次に、これは確認させていただきたいと思っておりますが、非核三原則。  岸内閣以降、国会で議論がなされ、七一年に、非核兵器並びに沖縄米軍基地縮小に関する衆議院の決議において、三原則が明文的に示されました。七八年に、「非核三原則を国是として堅持する我が国」という表現を含む国会決議が採択されましたが、では、特に非核三原則の三番目の持ち込ませずについて、法的な根拠、法的な拘束力というのはどういうふうに担保されているのかというところを教えてください。

○林国務大臣 この非核三原則でございますが、唯一の戦争被爆国としての我が国の立場を踏まえまして、核兵器を持たず、作らず、持ち込ませずとの点を歴代内閣が政策として明らかにしたものでございます。  政府といたしましては、非核三原則を政策上の方針として堅持してきておりまして、同原則が法的拘束力を有するというふうには認識をしておらないところでございます。

○太委員 分かりました。ありがとうございます。  それでは、申し訳ありません、通知したのをちょっと若干時間の関係で飛びますが、我が国のODAに関して教えていただけますでしょうか。  外務大臣が各国を歴訪する中で、我が国のODAの成果を感じた機会及びODAの意義について教えていただきたいと思っております。  冒頭も言いました。このODAというのは、外務省さんを中心に、我が国の戦後の本当の平和国家としての歩みの中でのソフトパワー、これからまさに、大変財政状況は厳しいですが、更に私はうまく展開していくべきだと思っておりますが、そういった視点で考えておりますが、この成果というもの、大臣の御見解を教えてください。お願いいたします。

○林国務大臣 我が国が外交を行っていく中で、このODAの重要性というのは、今委員がおっしゃっていただいたとおりであろう、こういうふうに思っております。  この成果を感じた機会ということですが、直近で申し上げますと、やはりウクライナに対する人道支援が挙げられると思います。  二月末でございまして、他国に先駆けて、ウクライナ及び周辺国に対する一億ドルの緊急人道支援、これを行うことを表明いたしまして、それがほかの主要国からの支援表明につながったというふうに自負をしておるところでございます。我が国による迅速な支援に対して、G7各国やウクライナのクレーバ外相からも、直接、評価や謝意の表明がありまして、また、国連を始めとする国際機関からも高い評価を得ております。  また、今月初旬にポーランドへ参りましたけれども、ワルシャワ市内の避難民の施設、それからウクライナとの国境地帯を訪問いたしまして、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、避難民支援に取り組む国際機関やNGOの皆様と意見交換を行いまして、こうしたところで、我が国の人道支援が、現地のニーズを踏まえて、女性や児童、家族の支援、そして医療分野等で有効に活用されているということを目の当たりにしてきたところでございます。  また、アジアでございますけれども、外務大臣として二国間訪問という機会をまだ得ておりませんが、外務大臣になる前の国会議員時代も、また閣僚としてアジア諸国、これは外務大臣になる前の閣僚のことでございますが、そういった際に、それぞれの訪問先で我が国のODAが有効に活用されて、現地の人々から感謝をされている例というのをたくさん目にしてきております。  また、外務大臣に就任した後も、対面や電話等で各国の外相等と会談する中で、特に昨今は新型コロナ対策支援、またインフラ整備を始めとする日本のODAに対する感謝の言葉を多くのカウンターパートから聞いておるところでございます。  今後も、国際社会の要請、各国の支援ニーズ、こうしたものを踏まえて、戦略的かつ効果的なODAの実施に努めていきたいと考えております。

○太委員 では、最後にさせていただきたいと思います。  ミャンマー政府に対して、我が国のODAが、武器購入、国軍の経済利益の拡大など、クーデター後の市民弾圧に利用された事実はないか、そちらを教えてください。

○植野政府参考人 お答え申し上げます。  そもそも、ミャンマーに対する経済協力に関しては、昨年二月のクーデター以降、我が国は、国軍主導のいわゆる現政権との間で二国間の国際約束を伴う新たな案件を決定はしておりません。  また、クーデター以前のNLD中心の政権との間で国際約束を締結して事業が始まっているいわゆる既存の案件につきましても、開発協力大綱にのっとり、軍事的用途への使用を回避するとともに、基本的人権の保障をめぐる状況に十分注意を払いつつ実施をしておりまして、御指摘のような、我が国ODAがクーデター後の市民弾圧に利用された事実はないというふうに考えております。

○太委員 どうもありがとうございます。  先ほど御指摘いただいた既存案件に関してはまだ中断には踏み切られていないという状況なので、そこはしっかりと引き続きやっていただきながら進めていただきたいと思っていますし、今本当にいろいろと広範囲になってしまいましたが、引き続き林大臣にはリアリズム外交をどうか続けていただきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。  時間になりました。失礼いたしました。ありがとうございます。