Vol. 88: お金の力で動く政治を終わらせる 企業・団体献金の廃止へ
自民党派閥の裏金問題を受け、企業・団体献金のあり方について与野党で3月末までに結論を出すとした合意は守られませんでした。1980年代末のリクルート事件を受けての細川内閣による「平成の政治改革」で、税金を原資とする政党交付金を導入する代わりに、政治家個人への企業・団体献金は禁止されました。さらに政党や政党支部に対する献金は「5年後に見直す」とされたものの現在まで「抜け道」として放置され、実質的に政治家個人が企業・団体からお金を受け取れる仕組みが温存されてきました。
企業・団体献金は利益誘導政治の温床となっています。企業・団体献金の9割を自民党が受け取り、献金額の多い業界や企業からの陳情が優先される一方で、日本社会の成長に必要な政策が後回しにされてきたことが「失われた30年」の元凶です。業界としての献金を想定できない教育や子育ての分野への国の予算配分が他の先進国に比べて著しく低い点がこのことを物語っています。献金額の多寡で政治が動き、お金の力で政策が歪められてきました。
先の国会で私は、政治改革特別委員会のメンバーとして、企業・団体献金の廃止や不正を犯した際の議員本人の責任を問う連座制拡大、政治資金を常時監視する独立した第三者機関の設置などを訴え審議に臨みました。しかし与党の数の力で押し切られ、十分な政治資金規正法改正を果たせませんでした。
与野党伯仲となった今国会で、企業・団体献金について自民党は「禁止よりも公開」を主張し、現行制度の見直しを頑なに拒んできました。政治資金の透明性を高めることは当然です。先進国の多くが既に企業・団体献金の禁止や規制を実施しています。政策決定を歪める恐れがあるからこそ、政治資金は公費助成と個人献金に移行すべきだというのが「平成の政治改革」の結論でした。政治資金に対する国民の不信を今度こそ払しょくするために、企業・団体献金の禁止について各党で虚心坦懐に議論を尽くし、今国会で廃止しなければなりせん。
政治活動を始めてから9年余り、私は一貫して企業・団体献金は受け取らず、一人ひとりの国民によって支えられる新しい政治家像の構築を目指してきました。これからも神奈川13区から、お金の力で動く利権や金権の政治を終わらせ、国民の声で動くまっとうな政治をつくるための挑戦を続けてまいります。
2025年4月吉日
衆議院議員 太栄志 拝