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Vol.86: 石破・トランプ会談 現実的な外交安保を提言

 石破首相とトランプ大統領による初の日米首脳会談は、信頼関係構築へ向けて幸先良いスタートとなりました。内容的にもバイデン政権時からの基本的な協力枠組みが継承され、日米が共に世界の平和と繁栄に関与していくことを対外的に発信できたことは高く評価できます。しかし同盟国に対しても予測不能な言動が続くトランプ氏の基本姿勢は変わりなく、また実務を担う米新政権の長官級以下のポストが固まってくるのは春先以降であるため、日米関係の真価が問われるのはまさにこれからです。

 日米首脳会談を受けて、衆議院の予算委員会で質疑に立ちました。まず今回の首脳会談を受け、「買収ではなく投資」という新たな展開となった日本製鉄によるUSスチール買収について質問し、日米関係と経済安保にとって重要な案件に政府が強く関与することを確認しました。そして米側からの防衛費増額の要求について問い、この案件は我が国が主体的に決めることであり、今後も国民的な支持を得ることを前提に進めるべきであることを伝えました。相互関税の具体的な品目に関する米側の言及はなかったとの答弁でしたが、コメや肉などの農水産物に対して関税が課されれば日本経済への影響は大きく、特に注視するよう政府に要請しました。

 また、我が国への主権侵害であり人権侵害である北朝鮮による拉致問題については、トランプ政権からの全面的な協力を確認できました。しかしトランプ氏は金正恩氏との直接交渉の再開に前のめりのため、予算委員会では拉致問題が置き去りにされて米朝交渉が進まないように日本がしっかり歯止めとなることを強く要請しました。

 日中関係についても取り上げました。中国は日本人の短期滞在ビザ免除措置を実施し、尖閣諸島周辺に設置したブイを撤去するなど、対日関係の改善に躍起になっています。背景には、トランプ氏再登板を受けて米中関係の緊張が高まる中で、日本との関係を安定させたいという思惑があります。日本政府も中国人向けビザの発給要件を緩和するなど、日中融和ムードが漂っています。経済的にも文化的にも非常に重要な隣国である中国との関係が安定することは重要ですが、現在、中国との間には、日本人男児刺殺事件や相次ぐ日本人拘束、そして安全保障上の懸念が山積している以上、この局面での急な関係改善は、中国側に誤ったメッセージを送ることになります。これらの懸念を外務大臣に伝え、中国への渡航警戒レベルの引き上げなど、毅然とした対中外交を進めるよう要請しました。

 国家の存亡に直結する外交政策は党利党略を超え、我が国の国益を最大化することのみを見据えてオールジャパンで取り組むべきです。日本と世界の平和を守り抜くべく、ライフワークである外交安保問題に今後も全力で励んでまいります。

2025年2月
衆議院議員 太 栄志 拝