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Vol.85: 台湾訪問 人と人の関係から国と国の関係の深化へ

 1月中旬に超党派の若手議員5名で台湾を訪問しました。滞在期間中には、台湾の国会議員や国防大臣、外務副大臣、政府関係者、大学教授、文化人らとの会談を重ねました。

 1972年の日中国交正常化以降、日本と台湾の関係は人的交流や文化交流などの民間レベルで発展してきました。中でも台湾と特別な人と人の関係を築いてきたのが大和市です。先の大戦中に高座海軍工廠では、日本占領下にあった台湾の12歳から19歳の少年たち約8,400人が、将来の航空技師を夢見て戦闘機製造に従事しました。少年工たちは現在の大和市上草柳の寄宿舎で暮らしており、今に至るまで大和市民との長年にわたる温かな交流が続いてきました。今回の訪台で元少年工の皆さんらと親睦を深め、現在の戦後最良と言われる日台関係の礎をつくってくださっていることに心からの感謝の念をお伝えいたしました。

 今回の訪台の狙いは、日台関係をさらに強固なものに引き上げ、両国の共通の課題での連携を模索することでした。日台間で連携すべき分野として、第一に、災害協力が挙げられます。日本と台湾はともに地震・台風大国です。多くの災害から教訓を学び、豊かな社会を築いてきた両国が防災技術や復興ノウハウを共有する仕組みを構築することで、より緊密な連携を実現するべきです。第二に、海上保安機関間の協力です。近年、中国海警局の船が尖閣諸島周辺の海域に頻繁に侵入するなど、中国は東シナ海に強引な進出を続けています。日本と台湾の海上保安機関が共同訓練などを通じて連携を深めることで、中国に軍事侵攻を決断させない地域環境の構築に役割を果たすことが重要です。第三に、行政のデジタル化です。台湾では、新型コロナ対策として国民がマスクを公平に購入できる仕組みが開発されるなど、デジタル技術を駆使して、社会課題の解決に活用しています。日本でもどのように市民の個人情報を適切に管理し、信頼される政府をつくっていくべきか、台湾から学ぶべき点は多いと考えます。また我が国として台湾のWHOオブザーバー参加やCPTPP加入などの国際的地位の向上を後押していかなければなりません。

 これまで日台関係は与党中心に取り組まれてきましたが、民主主義や人権、社会の多様性の重視など、本来なら台湾とリベラルな政策でより親和性が高い野党の議員外交の可能性を今回の訪台で見出すことができました。今後、日台の多層的な連携を構築していきます。そして戦後の日台友好の発祥の地である大和から、アジアの平和と繁栄のために議員外交を積極的に展開してまいります。

2025年2月
衆議院議員 太 栄志 拝