太ひでしが、「グローバルに考え、地域密着で行動する」
(Think globally, act locally)中で見えてくることを発信しています。

Vol.69:アジアの平和と繁栄をめざして 対中関係の再構築

 日本と中国が恒久的な友好関係を構築すると約束した日中平和友好条約の締結から今年で45年。節目の年に開催された国際会議、第19回東京-北京フォーラム(主催:言論NPO・中国国際伝幡集団)にパネリストとして参加しました。両国関係が冷え込む中、さまざまなレベルでの対話を重ねることが極めて重要です。昨年に続いて2度目の参加となり、両国の有識者や政府関係者らと日中関係改善へ向けて議論を深め、改善策を提言しました。

 この45年間で両国を取り巻く国際環境が大きく変わり、GDPでの日中逆転(2010年)が起こり、米中対立が激化しています。同盟国・米国と最大の貿易相手国・中国との狭間で、日本は主体的・長期的な対中戦略を欠いてきました。政府が昨年末に閣議決定した安保関連3文書では抑止力強化が強調される一方、対中外交の理念や具体的な政策が打ち出されていません。

 まずは不透明で覇権主義的な中国の軍事拡大から国を守り、武力衝突を起こさないために、日本の防衛力を適切に整備しなければなりません。東アジアにおいて中国との軍事バランスを均衡させるため、米国との強固な関係を生かして抑止力を高めることが必須です。偶発的な軍事衝突を避けるための日中防衛当局間ホットラインの運用確立が求められます。その上で粘り強い対話と交流を重ね、中国を既存の国際秩序に組み込む外交を展開すべきです。

 具体的には、一昨年に中国が申請したTPP(現在の包括的・先進的環太平洋経済連携協定)への加盟を日本が強く後押しすべきです。米国のTPP復帰を求めつつ、中国に高い加盟水準を満たした上での参加を促すことにより、中国と相互利益を確保しつつ共存をめざす意志を明確に示すべきです。

 そして日中平和友好条約の原点に立ち戻ることが必要です。同条約第2条で両国は「いずれの地域においても覇権を求めるべきではなく」との規定がありますが、今日の中国の不透明で急激な軍拡路線は明らかに整合性が合いません。また第1条で両国は「すべての紛争を平和的手段により解決」するとしていますが、これまで日中共に対話と外交の努力が十分でなかったことは明らかです。

 私の政治家としてのライフワークは外交安全保障です。日本の国益を最大化し、アジア全体の平和と繁栄を見据えた構想を打ち立て、引き続き議員外交と国際社会への働き掛けを展開してまいります。

2023年10月吉日
衆議院議員 太栄志 拝