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Vol.54:安易な「自衛隊」加憲では国を守れない 本質的な憲法改正議論を〈要約版〉

 我が国を取り巻く安全保障環境が激変しています。欧州で既に見られている国際秩序を根底から覆す事態が東アジアで発生しないとは言い切れません。国防はリアリズムです。我が国独自の防衛力の整備や同盟国・米国始め他国との連携強化など平時からの備えが喫緊の課題です。護憲派対改憲派という旧態依然としたイデオロギー対立に固執することなく、憲法とも真正面から向き合うべきです。

 ただ、憲法議論のスタートは、戦後日本の平和国家としての歩みを尊重することから始めなければなりません。国民が継承してきた憲法前文及び9条が掲げる理念は今後も確実に次代へと引き継がなければなりません。しかし厳しさを増す国際情勢に乗じて、危機感を煽ったり、感情論からの安易な憲法改正は厳に慎むべきです。

 憲法改正以前にできることは多いです。政治の責任として具体的に国民を守るための万全な体制を早急に整えるべきです。更には、日本の国防政策の根幹となる「国家安全保障基本法」の制定こそ本来は9条改正に優先して実現すべきです。

 改憲議論を巡り、自民党は9条に「自衛隊」を書き加える改憲案を主張しています。しかし、国家の安全保障よりも法律論を優先させる中途半端で無責任なものと言わざるを得ません。現在、自衛隊を必要ないと考えている国民はほとんどいない以上、自衛隊の「存在」だけを憲法に明記しても意味がありません。もちろん、理想論を唱えるだけでは国民の生命と財産は守れません。もはや9条が現実の安全保障環境と軍事技術の進展に十分に応えることができないとするならば、「急場しのぎ」で立憲主義を無視した憲法解釈の変更ではなく、抑制的な立場から自衛権規定やいわゆる軍法会議の設置などの様々な論点について現実を見据えた日本の安全保障を巡る議論を与野党で積極的に行うべきです。

 だからこそ、安全保障を巡る本質的な議論から目を背けることなく、戦後日本の平和国家としての歩みと我が国の置かれた安全保障環境とのギャップをいかに埋めるかを徹底的に熟考する必要があります。危機感と感情論からだけで進める「急場しのぎ」で憲法の変更をしてしまっては、安全保障の本質をないがしろにすることになりかねないのです。

全文は毎日新聞「政治プレミアム」(2022719日)をご覧ください。
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20220715/pol/00m/010/024000c

2022年7
衆議院議員 太 栄志