太ひでしが、「グローバルに考え、地域密着で行動する」
(Think globally, act locally)中で見えてくることを発信しています。

Vol.52:米国訪問 日米関係強化と更なる草の根の市民交流を!

 5月の大型連休中に2009年から2014年までの5年間、研究員として過ごした米国のワシントンDC、ボストン、ナッシュビル(テネシー州)の3都市を訪問しました。現地では大学とシンクタンクで講演し、政治家や役人、シンクタンク研究員、軍関係者らとの会談をこなしました。また10数年前から続けてきた草の根の市民レベルの交流も行ってきました。世界の平和が危機にある今だからこそ、米国との関係を強化し、激動する国際情勢に日本が適切に対処していかなければなりません。久しぶりの訪米を通し、新たな学びや収穫がありました。

  • 日本の存在感は更に低下

 日本の世界GDPシェアは、この30年間で16%から6%へ低下。一人当たりGDPも世界第4位から19位へ後退。米国の元政府高官から、「30年前には何度も日本に行き、成長し続ける日本を必死に研究した。ただ最近は世界第3位の経済大国であっても、その存在を時々忘れてしまう」と言われました。「失われた30年」と評される我が国の現状をよく言い表しています。

  • 日本への安全保障上の期待がより高まる

 トランプ政権は「米国第一主義」を掲げて同盟国に対しても厳しい対応でしたが、バイデン政権は同盟国との連携重視を鮮明にしています。存在感を増す中国やロシアの脅威に対抗する戦略上、日本の役割や日本に寄せる期待の高まりを強く感じました。

 厳しさを増す我が国の安全保障環境を受け、岸田首相は昨年末の所信表明演説で安保関連3文書改定と合わせ「スピード感を持って防衛力を抜本的に強化する」と言明しました。しかしそれから半年、米国の安全保障コミュニティーからは「日本が目指す防衛体制の方向性が見えてこない」との声が多くありました。私が所属する国会の安全保障委員会でもこれからの防衛政策のあり方を巡る議論に政府はほとんど応じていません。国会及び国民的な議論を徹底した上で、同盟国やパートナー国との認識合わせや情報共有を急がなければなりません。

  • 米国の対中認識の悪化

 これまで米国は、中国がいずれ民主化することを期待して経済支援を行い、関与政策を続けてきました。しかし中国の急激な経済力、軍事力、技術力の発展に伴う権威主義的な対外政策に対するトランプ政権の強硬な対中政策や新型コロナのパンデミックなどを経て、対中認識が急激に悪化していました。これまで中国に友好的だった親中派も、「中国を変えることは不可能と悟った」との発言が相次ぎ、対中強硬路線に転換していました。日本は今後、同盟国・米国と最大の貿易相手国・中国との間で、国益を冷徹に見据えたリアリズムに基づく振舞いがより求められます。

  • コロナ禍での大型の経済対策を受け、好景気に沸く米国

 好景気の米国の活力を目の当たりにしました。人が街に溢れ、夜だけでなく昼間も飲食店は賑わい、多くの人が観光地を訪れていました。米国はコロナ禍でトランプ、バイデン両政権下で実施された家計や事業者への直接給付や失業給付などの所得支援策などを背景に個人消費支出が約40年ぶりの高水準となっていました。更にマスク着用義務も解除されていて、私も2年半ぶりにマスクなしの生活を満喫しました。やはり日本でも大規模な経済対策と、ウイズ・コロナ時代に感染防止対策をした上で経済を回すための政治の決断を急がなければなりません。

  • 今こそ草の根の市民交流を活発化しよう

 地元・座間市と米南部・テネシー州のスマーナ市は、両市に日産自動車の工場があることがきっかけで30年以上に渡る姉妹都市です。2020年に同市内に開園したZAMA Parkを視察してきました。企業による繋がりから市民交流が盛んになり、草の根での日米友好が展開されてきました。

 また今回訪米したきっかけの一つは、ハーバード大学に20125月に日米友好百年と東日本大震災復興支援への御礼として桜の植樹をしてからちょうど10年目だったことです。ハーバード時代の恩師らと10年後に桜の下で会う約束をしていて、見事に成長した桜を見ながら感動の再会を果たしました。これからも地道に草の根レベルの日米交流、国際交流を重ね、より平和な世界の構築を目指していきます。

20225
衆議院議員 太 栄志 拝