太ひでしが、「グローバルに考え、地域密着で行動する」
(Think globally, act locally)中で見えてくることを発信しています。

Vol.50:激動の国際情勢で日本の平和と主権を守る

 ロシアによる国際法に違反するウクライナへの軍事侵略により、世界はいま分岐点に立たされています。第2次世界大戦以前のように力により領土が拡張される弱肉強食の世界に逆戻りするか、それとも国際法に基づく既存の国際秩序が維持されるかの正念場にあります。日本はG7始め国際社会と団結してロシアに強力な制裁を科して軍事力による挑戦を阻止し、自由で開かれた国際秩序を断固として守らなければなりません。

 いつの時代も戦争で一番苦しむのは無辜の市民です。これ以上の犠牲を出さないため直ちに休戦して停戦協議を開始するよう日本が関係国にあらゆる働き掛けを尽くすべきです。ウクライナ国民の4人に1人にあたる1,000万人以上が既に国内外で避難を余儀なくされています(3/20現在)。これまで難民受け入れに消極的だった我が国も今回は条件緩和を急ぐべきです。私の地元大和市はインドシナ難民を2,600人規模で受け入れてきた経験があり、ウクライナへの人道支援の機運が高まっています。

 ロシアの侵攻を今回許してしまったことで、米国の影響力の低下が加速しました。NATO加盟国でないウクライナへの米国の防衛義務はありませんが、ソ連崩壊後に核不拡散を条件にウクライナの領土保全と安全保障を約束していました。核兵器を持つ国は制御できないという前例をつくれば、東アジアでも同様の行動を取る国が現れかねません。米国は核保有国の軍事攻勢に対し非常に慎重であることを今回の教訓とし、台湾海峡有事を招かないよう外交と対話の努力を重ねなければなりません。

 米国が世界の警察官の役割を果たさなくなった以上、米国への過度な依存は見直すべきです。日米同盟を深化させ米国をアジアにつなぎ留めることは大事ですが、同時に我が国の外交力と防衛力を強化し、アジアでの新たな国際協力体制を構築して、ゼロベースで安全保障戦略を立て直す必要があります。自らの国を自ら守る覚悟と行動を今こそ政治が示すべきです。

 危機の今、徹底した現実主義が必要です。最優先すべきは国民の命と国の主権を守ることであり、勇ましいだけの主張や軍拡を続ける国々への融和的な楽観論は厳に慎まなければなりません。激動する国際情勢を冷徹に見極め、バランス感覚を持った外交が肝要です。

 我々野党は与党に代わる選択肢を提示する必要がありますが、外交安保の分野では与党との違いを殊更強調すべきではありません。現実的な立ち位置を明確にして国民の信頼と安心を得ることが先決です。まず党内に外交安保系シンクタンクを創設し、政策の深化と刷新、脱・「霞ヶ関」化、グローバルな発信力強化を目指すべきです。党のワシントン事務所開設で対米関係の安定と独自の情報収集・発信の体制構築が急務です。国家の存亡に直結する課題では党利党略を離れ、オールジャパンで日本の平和を守り、既存の国際秩序を維持するため政治の指導力が問われています。

2022年3月
衆議院議員 太栄志 拝