太ひでしが、「グローバルに考え、地域密着で行動する」
(Think globally, act locally)中で見えてくることを発信しています。

Vol.37:一人じゃないよ~孤独に向き合い、支え合う社会へ~

 コロナ禍で3密回避や外出自粛が長引き、社会や人との接点が極端に少なくなりました。失業や収入減なども影響して孤独を抱える人が増え、昨年は11年ぶりに自殺者数が増加しました。

 地域を歩く中で孤独と直面している様々な声を聞きました。昨年はコロナの影響で産後うつで苦しんだ母親が倍増したと言われましたが、「感染が怖くて外出できず、子育て支援の集まりなども中止が続きママ友はゼロ。誰にも子どものことを相談できない」と一人で悩んでいるお母さんから不安の声が寄せられました。

 母子家庭の半数以上は相対的貧困に苦しんでいますが、その生活苦は限界を超えています。飲食店で働きながら子育てをしているシングルマザーから、「コロナの影響で仕事がなくなり、家賃を滞納している。国の支援金を更に出してもらえないと子どもの学費が払えない」と孤独の中で子どもを育てている窮状を切実に訴えられました。
 コロナは学生生活にも深い影響を与え、「せっかく入学した大学ではオンラインでの授業が続き、思い描いていたキャンパスライフとのギャップに落胆している。友達をつくれず孤独感を抱いている」と大学1年生が話してくれました。

 近年、日本で孤独が深刻になっています。高齢化が進み単身世帯も増える中、誰にも看取られずに亡くなる孤独死が急増しています。国内の年間死亡者約130万人のうち、孤独死者は年間約3万人で、国民のおよそ50人に1人が孤独死しています。また孤独死者の平均は約61歳で、60歳未満の現役世代が40%を占めており、孤独死は高齢者に特有の問題ではありません。

 ひきこもり状態にある人は推計100万人を超え、最近では80代の高齢の親が独身で無職の50代の子と同居し、共に高齢化して社会から孤立し困窮する「8050(ハチマルゴーマル)問題」が深刻になっています。

 孤独の問題に国として本気で向き合っているのが英国です。3年前に世界で初めて孤独問題担当相を設け、年28億円規模の支出で地域での見守り拠点の整備や地方自治体やボランティアなどとの連携強固を推し進めています。

 コロナ禍を転機に日本でも総合的な孤独対策を進めなければなりません。まず誰もが安心して相談できるオンラインも活用した相談窓口の大幅な増設が待ったなしです。具体的には若者向けにSNSやチャットの活用や高齢者向けのデジタル分野でのサポート体制の強化などです。またNPOやボランティアによる見守りサービスへの支援を拡充すべきです。そして早急に孤独対策基本法を制定して国民の孤独軽減への取組を加速しなければなりません。

 私は地域において、共に支え合い、孤独に陥らないためのコロナ禍での新しい仕組みづくりを目指します。一人で悩まないで、お気軽にメール電話などでお声をお寄せください。

2021年2月
太 ひでし 拝