太ひでしが、「グローバルに考え、地域密着で行動する」
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Vol.11:日本の平和と北方領土問題

戦後70年以上にわたり日本とロシアの間には平和条約がありません。安倍首相はロシアとの平和条約締結を加速させたい意向を示しており、1月の日ロ首脳会談が注目されます。 北方領土問題解決のため「新しいアプローチ」で柔軟に対応し、隣国ロシアとの安定した関係を構築することは大切です。中ロ接近へのけん制も必要です。しかし国家の主権に関わる問題で容易に譲り、一足飛びに平和条約を結ぶことはロシアを利するだけです。長期政権のレガシー(遺産)づくりのために日本の国益を損ねてはなりません。

日ロ交渉では、日本の国際社会の中での立ち位置が問われます。米国の指導者が「米国第一」の外交に突き進み、国際政治が大きく揺らいでいます。国際法などのルールに基づく自由で開かれた国際秩序を日本が守る意志を示さなければなりません。対ロ関係改善のためとはいえ、クリミアやウクライナ問題などで武力により政治目的を達成しようとするロシアとの安易な妥協は厳に慎まなければなりません。

領土問題解決へ向けて、日本の政治のあり方も問われます。国の将来及び存亡に直結する外交安全保障問題では「政争は水際まで」が大原則です。各党が党利党略からではなく、日本の国益を見据えた建設的な立場から政府の交渉の問題点を厳しくチェックし、提言することが今こそ求められています。

2018年12月
太 栄志 拝