太ひでしが、「グローバルに考え、地域密着で行動する」
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Vol.17:「老後2000万円」問題 ~今こそ、年金の抜本改革を!

「老後の生活費に2000万円が必要」との金融庁の審議会報告書を受けて、地域の皆さんから年金への不安の声がこれまでになく多く寄せられています。今こそ、政治が党利党略を超えて一丸となり、「人生100年時代」の老後の安心につながる公的年金制度をつくり直さなければなりません。

しかし政府与党は、「政府の政策スタンスと異なり、老後不安を招く」としてこの報告書の受け取りを拒否し、真正面から年金制度のあり方を国会で議論することも、参院選での争点にすることも避けています。「記録がない、記憶がない、廃棄した」として都合の悪い公文書や記録を「なかったこと」にし、役人に責任を押し付けてきた現政権のこれまでの傲慢で強引な姿勢が如実に表れています。これでは年金制度に対する不安と不満が高まるばかりです。

老後の安心のために、「日本版ベーシック・インカム」の導入を!

まずは参院選への影響の懸念から先送りされている、年金の給付水準の長期的な見通しを示す財政検証を早期に公表し、今の年金制度の現実を直視しなければなりません。そして2004年の公的年金改革で掲げられた「100年安心」について、(安心なのは年金制度の持続性のことであって)年金をもらう国民の老後が「100年安心」ということではないと政治が逃げずに説明する必要があります。

そのうえで、より老後の安心に直結する新しい仕組みとして、老後の所得を最低限保障する最低保障機能を高めた高齢者向けの「日本版ベーシック・インカム」導入を提案します。現行制度では基礎年金部分も含めてマクロ経済スライド(少子高齢化に合わせて年金の給付水準を自動減額する仕組み)が発動されるため、年金額が少ない人ほど老後の不安が増すことになります。新制度導入で基礎年金や生活保護などを一元的に整理することによって行政サービスの効率化を進め、安定した財源を確保した上で、持続可能な年金制度の確立を目指していきます。

老後の資金不足が注目される今だからこそ、社会保障の給付と負担のバランスを正面から議論し、誰もが老後の安心を確保できる年金改革を、政治がまっすぐに進めていかなければなりません。 

2019年6月
太 栄志 拝